2025年1月,新たなブログ「田中浩朗文庫」を始めました

PM1406

11/20に食品放射能測定器Polimaster PM1406が届いた。食品の放射能測定については,昨年夏から何とか自分で測れないものかと実験を繰り返してきた。その過程で,いろいろ機器や道具を買い,放射能測定の知識も多少勉強してきたが,結局,食品放射能測定用の機械を買うしかないという結論に至った。少し前までは,100万円以上したが,最近何とか手の届きそうな価格帯のものが売り出され始めている。今回,いろいろ考えた末に,PM1406を購入することにした。

食品放射能を測る測定器としては,セシウムとカリウムの放射能を区別できないといけない。したがって,ガイガーカウンター(GM管)ではだめだ。シンチレーション式であっても,γ線のエネルギー毎にカウントを区別できないといけない。さらに,効率よく放射能を測るには,マリネリ容器が使えるものでないとだめだ。できれば,スペクトルが見られると良い。こうした条件をクリアするためには,食品放射能測定専用の機械を買うしかないのだ。いま思えば,当たり前のことだが,ここに至るまでにずいぶんかかった。

その紆余曲折の過程で,背景放射線の遮蔽用に買った鉄製の容器と鉛の板が今回のPM1406を使う上でも役だった。この測定器は,小さな鉛の容器(それでも20kgはある)の中にセンサーとマリネリ容器を入れて測るのだが,その鉛容器ごと鉄の容器に入れてしまい,その下や上,また中に鉛板を合計10枚配置すると,かなり背景放射線の遮蔽が強化される(遮蔽前の空間線量0.05μSv/hが,製品に付いている鉛遮蔽容器で0.002μSv/hになり,それを鉄の容器と鉛板でさらに遮蔽すると0.001μSv/h以下にまで下がる)。鉛板設置の図

この装置で,10Bq/kgを超えるかどうかを約4時間(以内)で判定できる。ほとんど放射能を含まないものだと,10分程度測れば確認できる。PM1406に付いている鉛容器の遮蔽だけだと,説明書によれば10Bq/kgの判定は約10時間かかるというので,半分以下に時間短縮できている。

この製品は,ベラルーシのPolimasterという有名な会社の製品だが,利用者による情報がこれまであまりなかったので,購入を躊躇している人も多いかと思う(私もそうだった)。最近@mikage氏のレビューが公開され,購入に伴う不安はかなり減った。決して安い買い物ではないが,食品放射能を測りたいなら最低このレベルの性能を持ったものが必要だ。

私が昨年夏に初めて入手したガイガーカウンターは4万円以上したが,同じものが今では1万円以下で売られている。食品放射能測定器も今後値下がりするであろうか。

12/22追記
私の予想より早く値下がりが始まったようだ。今日見たら、私が買った時より14万円も下がっていた。これで、多くの人にとって買いやすくなったのではないだろうか。

【天気】雨のち曇り。

3件のコメント

こんにちは、はじめました。
自分もこれと似たようなベクレルモニターを持ってます。1インチのNal検出器で、鉛遮蔽の厚さが15mmに、鉄パイプで作った15mmの追加遮蔽体を使っています。
自分ところの空間線量は0.067μSv/hですが、ベクレルモニターの15mm鉛遮蔽内ですと0.025μSv/h、15mmの鉄の追加遮蔽で0.020μSv/hまでしか落ちません。
最初はこんなものかと思いましたが、こちらの記事ですと、やり方しだいで0.001μSv/hまで落ち、10時間10bq/kgを4時間まで短縮できたことに驚いています。
もしよろしければ、どのようにしているのか、教えていただけないでしょうか?
BG遮蔽パイプセットにPM1406を入れるのはすぐわかりますが、10枚の鉛板をどのように配置しているのでしょうか。またこの鉛板の商品名はGTメタルでしょうか。
お手数ですが、よろしくお願いしまうs。

下手な図ですが,鉛板設置の図を書きましたので,上記記事の同名リンクをクリックしてみてください。鉛はTGメタルのFP-02です。http://www.tgmetal.co.jp/tashiro/prod-list.html

こんにちは。早速の返信ありがとうございます。とても参考になりました。
自分のは典型的な遮蔽体の下からスロープを突っ込む形のベクレルモニターで、遮蔽体を支える足とか、出っ張ってるスロープとかで、ベクレルモニターの下のほうをちゃんと遮蔽するのが難しく、おろそかになっていました。でも、そちらの図解でも、パイプセットの底+鉛板でしっかり遮蔽して線量下げていますから、やっぱり地面から出ている放射線対策をしっかりやらなければいけないと、わかりました。
さっそくネットでTGメタルを注文しました。いろいろ教えていただきありがとうございました。