『増補版 作家の時間』が出たのをきっかけに,再度ライティング・ワークショップの勉強をしている。以前は,自分の授業に取り入れるのは難しいと考えていたが,そうでもなさそうな気がしてきた。
ライティング・ワークショップとは,生徒が主体的に書くという活動を授業の中心に置いた作文教育の手法である。ラルフ・フレッチャー,ジョアン・ポータルピ(小坂敦子・吉田新一郎訳)『ライティング・ワークショップ』(新評論,2007年)やプロジェクト・ワークショップ編『増補版 作家の時間』(新評論,2018年;初版2008年)で,そのやり方が紹介されている。
ライティング・ワークショップの授業の進め方は次の通りだ。
- ミニ・レッスン
- 書く時間/カンファランス
- 共有の時間
私が今学期始めた次のような授業の進め方もこれに似ている。
- 講義
- 個人学習(小レポート作成)
- グループ活動
- 振り返り
講義はミニ・レッスンに,個人学習は書く時間/カンファランスに,グループ活動は共有の時間の時間に対応する。
しかし,今回ライティング・ワークショップの本を再読して,その違いに気づいた。
まず,執筆のペースが,ライティング・ワークショップ(WW)の場合は個人毎にみな違う(違って良い)のに対して,私の授業では一律である。しかも,毎週1つの小レポートを提出しなければならないということで,時間的にも十分とは言い難い。
また,WWのカンファランスや共有の時間によるフィードバックが,私の授業の場合は全く不十分だ。教員によるカンファランスはほとんど行われておらず,短時間(15分程度)のグループ活動では各自が自分の小レポートを紹介するだけで終わってしまう。
WWを参考に私の授業の進め方を改善するとすれば,例えば次のような進行が考えられる。
- 講義
- 個人学習/教員とのカンファランス
- ピア・カンファランス(ペアまたはグループで)
- 共有の時間(完成原稿の紹介など)
その際,草稿や完成原稿の提出時期は各自に任せる。テーマや題材,執筆ジャンル(レポート,書評,本以外の作品やイベントの紹介・批評,など科学史技術史関係雑誌に載っている記事を参考にジャンルを設定)も各自に任せる。
講義では,科学史・技術史に関する内容の講義もするが,それを扱った作品も紹介し,そうした作品を書く上での参考にしてもらう。また,レポートその他の作品を作成するための方法・技法も教える。
成績評価が難しそうだが,ポートフォリオとルーブリックを利用すれば何とかなりそうな気がしている。
【天気】晴れ。