’19年度後期 授業アンケート集計結果および所見

今年度からスパイダー討論を取り入れ,前期はその最初の試みだった。後期はかなり改良を加えたつもりだったが,アンケートの結果にはあまり改善の成果が現れていないように思える。なお,今回は前期に比べ回答率が大幅に低下した。

各クラスの集計値

クラス毎の項目別平均値を表にまとめておく。ほとんどが4以上なので,大きな問題はないと思われる。ただし,前期に比べて,回答率が半分以下へと大幅に低下した(前期:41.7〜75.0%,後期:21.2〜29.4%)。したがって,前期と後期を単純に比較することはできないと思われる。また,アンケートの結果がクラス全体の傾向と一致している可能性は低い。

前期において,シラバス未読率が高いと問10(興味・関心)が低い傾向があったが,今学期もやや同様の傾向が見られる。

また,授業時間外学習時間が0の割合と問10の低い評価との間に相関がありそうだ。授業時間外の学習を促す工夫が必要だと思う。

科現(月2)科現(金1)科現(土4)科史(水3)科史(金2)科史(土3)
問1(出席率4.274.754.214.564.754.00
問2(授業時間外学習時間2.413.252.141.942.052.33
問3(科目の目的・目標4.455.004.454.694.784.67
問4(理解度・習熟度の把握4.234.754.214.064.254.33
問5(教え方4.274.754.214.174.304.67
問6(教材4.144.754.574.224.354.67
問7(意欲喚起4.234.504.004.334.354.67
問8(成績評価法4.455.004.714.564.554.67
問9(理解・習得4.414.754.294.284.354.33
問10(興味・関心4.094.503.573.894.304.67
回答者数/履修者数22/834/1514/6418/8520/683/28
回答率26.526.721.921.229.410.7
シラバス未読率9.150.021.411.110.00
授業時間外学習なし9.1021.427.820.033.3

科学と技術の社会史

水3クラス

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自由記述(抜粋)

<良かった点>

  • 過去から現在までの技術を授業で学び、それに対して自分の意見を持ち他人と共有することで、授業の内容だけでなく自分とは異なる側面でその事象に対して意見を持てるということが見識を広げるという面でよかった。
  • グループ討論によって理解がより深まったと同時に対人スキルも高まった
  • 討論形式の授業で意見交換ができるのが新鮮だった。

<改善した方が良い点>

  • 討論の時間が少なかった。少し机の移動がめんどくさかった。
所見
前期に引き続き,毎回の授業後半でグループ討論を行いました。Q3からQ9まで4以上(4.06〜4.69)であり,ほとんどの項目で大きな問題はなかったように思います。しかし,Q10(興味関心)が3.89,Q4(理解度把握)が4.06と,相対的に低かったので,受講者の興味関心や理解度に沿った授業という観点では改善の余地がありそうです。なお,Q2(授業時間外学習時間)で,「全くしなかった」が27.8%と多いので,授業時間外学習を促して理解度を高め,興味関心が持てるようにするのが一つの方策かもしれません。グループ討論を取り入れた授業については,「過去から現在までの技術を授業で学び、それに対して自分の意見を持ち他人と共有することで、授業の内容だけでなく自分とは異なる側面でその事象に対して意見を持てるということが見識を広げるという面でよかった」「グループ討論によって理解がより深まったと同時に対人スキルも高まった」といった意見があり,肯定的に受けとめられていたようです。ただ,1コマの授業で講義と討論の両方を行うため,「討論の時間が少なかった」といった不満もありました。講義と討論の両方に十分な時間を配分するには,講義の回と討論の回を分けるという方法もあるかと思います。検討してみたいと思います。

金2クラス

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自由記述(抜粋)

<良かった点>

  • ディスカッションが楽しい
  • 討論するという貴重な機会だった。
  • ディスカッションのやり方などのレベルがあがった
  • 単なる受動的な講義ではなく、教授の話を聞き、自分で考え、その考えを述べて少人数で討論するといった講義スタイルであったため、かなり意欲的に取り組むことができた上に、話の論点を一つに絞る力他人の意見を聞き、自分の意見をを言う力話が途切れた時の新たな問題を提供する力等を身につけることができた。
  • 楽しいです。

<改善した方が良い点>

  • ディスカッションの時間が短く、賛成反対を全員が言っているとすぐ終わってしまう。反論や同意、話を発展させるために、14回の授業のうち1回くらいは長い時間使ってディスカッションをしてみたいと思いました。。
  • 討論より講義が長いこと。
  • 紙をかく時間を増やす
  • 教員の”個人的な”思想に基づいて講義が行われているので議論に偏りが生じている。もう少し多面的に講義すべき。また、教員の意見も言うべきではない。
    教員コメント:私の講義の内容は,シラバスや授業サイトで紹介しているオーソドックスな参考文献に則って行っているので,それほど「個人的」なものでもありませんし,「偏り」が生じているとも思いません。(なお,歴史というものは,何らかの視点を定めないと描けませんので,視点の存在を「偏り」というならそれは避けがたいものだと思います。問題は,視点=偏りの存在そのものではなく,その視点=偏りが私たちにとって意味のある歴史像をもたらしてくれるか否かです。)私は,授業で議論することの重要性を強調してきました。私は,授業での議論の一環として自分の意見を言う場合があります。しかし,それは「正しい」意見ではなく,「一つの」意見として,です。それに続くグループ討論の場で学生の皆さんから賛否両論の多様な意見を出してもらいたいと思っていました。実際多くの班で多様な意見が出ていました(一部の班では意見が分かれない場合もあったようですが)。なお,多様な意見の存在を示すために,討論テーマと一緒に対立する意見の例示もしました。ただ,それでも学生の議論が教員の意見に引きずられるというのであれば,今後は多様な意見の例をもう少し充実した形で提示したいと思います。
所見
前期に引き続き,毎回の授業後半でグループ討論を行いました。Q3からQ10まで4以上(4.25〜4.78)であり,全ての項目で大きな問題はなかったように思います。グループ討論を取り入れた授業については,「楽しい」「貴重な機会だった」「単なる受動的な講義ではなく、教授の話を聞き、自分で考え、その考えを述べて少人数で討論するといった講義スタイルであったため、かなり意欲的に取り組むことができた上に、話の論点を一つに絞る力、他人の意見を聞き、自分の意見をを言う力、話が途切れた時の新たな問題を提供する力等を身につけることができた」といった意見があり,肯定的に受けとめられていたようです。ただ,1コマの授業で講義と討論の両方を行うため,「ディスカッションの時間が短く、賛成反対を全員が言っているとすぐ終わってしまう」「討論より講義が長い」といった不満もありました。なお,講義については「もう少し多面的に講義すべき」といった意見もあり,講義時間をさらに短くするのは難しいと思われます。講義と討論の両方に十分な時間を配分するには,講義の回と討論の回を分けるという方法もあるかと思います。検討してみたいと思います。

土3クラス

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自由記述(抜粋)

<良かった点>

  • グループを変更したこと。

<改善した方が良い点>

  • 討論テーマが少し難しいので単純な感じに答えられるようにしたい。
所見
回答者数が3名と少なく,集計結果には統計的意味がないため,コメントは省略します。是非,多くの受講者に回答してもらいたいと願っています。

科学技術と現代社会

月2クラス

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自由記述(抜粋)

<良かった点>

  • 議論が出来た点(討論は出来なかった)。
  • グループ討論が苦手でも、参加しやすいように配慮されていてよかったです。

<改善した方が良い点>

  • グループ討論の時間が足りなくなることがありました。
  • 30分、7人以上で明確な答えが存在しないものを議論させるのはやっぱり無理があると思う。主に時間が足りなくて議論する前に互いの意見の確認などで時間が足りなくなる。そして、蜘蛛の図の存在価値が無くなる。
所見
前期に引き続き,毎回の授業後半でグループ討論を行いました。Q3からQ10まで4以上(4.14〜4.45)であり,全ての項目で大きな問題はなかったように思います。グループ討論を取り入れた授業については,「グループ討論が苦手でも、参加しやすいように配慮されていてよかったです」といった意見があり,肯定的に受けとめられていたようです。ただ,1コマの授業で講義と討論の両方を行うため,「グループ討論の時間が足りなくなることがありました」といった不満もありました。講義と討論の両方に十分な時間を配分するには,講義の回と討論の回を分けるという方法もあるかと思います。検討してみたいと思います。

金1クラス

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自由記述(抜粋)

<良かった点>

 回答なし。

<改善した方が良い点>

 回答なし。

所見
前期に引き続き,毎回の授業後半でグループ討論を行いました。Q3からQ10まで4.5以上(4.5〜5.0)であり,全ての項目で大きな問題はなかったように思います。ただ,回答者数が少ないため,これがクラス全体の傾向を表していない可能性もあり,同科目他クラスのアンケート結果も参考にして,より良い授業を目指したいと思います。

土4クラス

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自由記述(抜粋)

<良かった点>

  • 原爆について、様々な視点で学ぶことができた。
  • グループワークが多いのは、コミュニケーションスキルを磨くためにはとてもよいと思います
  • グループ討論によってコミュニケーション能力を高めることができた気がする。
  • 我々理系の生徒は文系科目に貴重な時間を割きたくないが、本授業は授業中に真面目にやれば内容を習得できる上に家でやらなければならない宿題や勉強がない
  • 毎回のグループディスカッションが真剣な話し合いができて良かったです。微妙なタイミングでのグループ替えが新鮮で良かった。講義のテーマが適当にやり過ごせないテーマで良かった。
  • グループディスカッションが楽しかった。そういう体験はなかなか無いのでよかったです。
  • ディスカッション(意見交換)の作法、レポートの基本的作法を学べるのも、学生にはとても有益と感じました。ディスカッション前の講義がわかりやすかったと思います。
  • 一つの物に種類の異なる問題があることを学べた。また、説明の仕方が丁寧で、参考になった。

<改善した方が良い点>

  • グループ討論を未経験の方が多いと思うので、最初の1、2回は身近なテーマで経験を積めるとよい。
  • 班替えのペースが早すぎる気がした。
  • 班編成が変わるのが早いと感じた。
  • 良いレポートの例として授業に全く関係のない政治的で一方的な意見だけを提示する事は学校教育として不適切である。政治に疎い生徒であればまるでその意見までが正しいかのように思ってしまう事も有りうる。政治的な内容は避けるか、対立する意見の例も提示するかした方がよいと思う。原爆、日本の歴史の内容が多く、原子力工学は専門外の生徒が多いと思うのでもう少し生徒の専門内の内容(機械工学、電気工学、通信工学等)に触れて欲しい
    教員コメント:例として提示した消費税問題をテーマとした新聞コラムは,あくまでも文章形式の見本であって,内容は関係ないと断ったつもりでした。また,消費税問題は,大学生にも身近な社会問題なので,関心を持っており,世間にある賛否両論のいろいろな意見をニュースなどで知っているはずで,当該の新聞コラムの内容も大学生なら一つの意見として受け止められると考えていました。しかし確かに,ふだん新聞を読まないような学生の場合は,その意見を正しいかのように思ってしまうという可能性もなくはないと思いますので,今後は「あくまでも一つの意見」であること,社会では意見が割れているということを配布資料の上でも強調したいと思います。学生が学んでいる専門に関係のある社会問題を採り上げることについては,今後の課題としたいと思います。
  • 班の人数を減らしたほうがディスカッションで各自が発言する機会が多くなると感じました。
  • 後半はビデオと異なることについて意見を考えることがあって、情報が無いことから混乱して、その後、あまり良いことを言えなかった。
所見
前期に引き続き,毎回の授業後半でグループ討論を行いました。Q3からQ9まで4以上(4.00〜4.71)であり,ほとんどの項目で大きな問題はなかったように思います。しかし,Q10(興味関心)が3.57,Q7(意欲喚起)が4.00と,相対的に低かったので,受講者の興味関心や意欲喚起という観点では改善の余地がありそうです。グループ討論を取り入れた授業については,「グループワークが多いのは、コミュニケーションスキルを磨くためにはとてもよいと思います」「ディスカッション(意見交換)の作法、レポートの基本的作法を学べるのも、学生にはとても有益と感じました。ディスカッション前の講義がわかりやすかったと思います」といった意見があり,肯定的に受けとめられていたようです。他方,「班替えのペースが早すぎる気がした」という声もあり,班の編成方法についてはさらに工夫を重ねたいと思います。なお,「良いレポートの例として授業に全く関係のない政治的で一方的な意見だけを提示する事は学校教育として不適切である」との意見がありましたが,例として提示した消費税問題をテーマとした新聞コラムは,あくまでも文章形式の見本であって,内容は関係ないと断ったつもりでした。また,消費税問題は,大学生にも身近な社会問題なので,関心を持っており,世間にある賛否両論のいろいろな意見をニュースなどで知っているはずで,当該の新聞コラムの内容も大学生なら一つの意見として受け止められると考えていました。しかし確かに,ふだん新聞を読まないような学生の場合は,その意見を正しいかのように思ってしまうという可能性もなくはないと思いますので,今後は「あくまでも一つの意見」であること,社会では意見が割れているということを配布資料の上でも強調したいと思います。