’13年度前期 授業の反省

 前期の授業がちょうど終わったところで,授業の反省をする。

授業SNS

 先学期の反省をもとに,今学期は先学期の共同受講ブログからまた変更して授業SNSを用いた。利用したクラスは,フレッシュマンセミナーを除くすべての授業,つまり科学の社会史2クラスと,科学技術と倫理2クラス,合計4クラスである。

 授業SNSの機能は,下記のような先学期の構想そのとおりに設定した。

そこで,来年度は,再度,BuddyPressを使った授業SNSに戻そうかと思う。ただし,授業ツイートと課題の書き込みが区別されるように,課題はPostのコメントとして投稿してもらい,しかも締切までは公開しないようにすることを考えている。というのも,すでに他人の書き込みがあると,それを真似して書いて出す人が多いような気がするからだ。また,締切以降の投稿は公開しないようにすれば,締切を守ることへのインセンティブにもなるだろう。課題の書き込み数をカウントするのも容易になるので,様々な面でメリットがある。

なお,同一科目を複数クラスで開講する場合は,それぞれのクラスの受講者をグループ化し,Groupsというプラグインを用いて他クラスの書き込みは見えないようにしようかと思う。これで,クラスによって締切が違う場合にも,他クラスの書き込みを真似して書くことができなくなる。

授業ツイートのカウントには,またAchievementsを使うつもりだ。今度はあまり細かくポイントは設けず,60, 80, 100点といった3段階くらいのポイントにして,あまりポイントのことを意識しないようにさせようと思う。

さらに,WordPressのテーマとしてTopBusinessを導入することにより,スマホ対応も可能になる。これはBuddyPressにも対応したテーマなので,スマホを使っても授業に参加できる。大分使い勝手が良くなるはずだ。

 その結果は,想定通り,以前の授業SNSの難点を克服し,かなり使いやすいシステムが実現できたと思う。ただ,書き込みの修正ができない点や自分の書き込みの数が簡単にわからない点については相変わらず学生からの不満が強い。何とか改善したいのだが,私の現在のプログラミング能力では対応できないでいる。ともあれ,来学期も今学期のシステムを改良しつつ使っていきたい。

 今学期で授業SNS(および共同受講ブログ)を2年半,5学期にわたって使ってきた。そしてこのシステムは,素人が構築したものであり,様々な問題を抱えているとはいえ,ほとんどの受講者から歓迎されている。次のような受講者の声もある。

とても楽しい講義でした。とくに授業SNSはとても新鮮で他の受講者の意見や感想が見ることができ考えさせられることも多く、講義内容の深い部分まで意識を置くことができたと思います。このような手法がスタンダードになれば快適に学べると個人的に思いました。

私自身,もうそろそろ,こうしたシステムはプロがきちんと構築し,大学の情報インフラとして当たり前に提供されてしかるべきだと思っている。私の作ったシステムはあくまでプロトタイプだ。これを参考にどこかの会社がきちんとしたものを作って欲しいと強く思っている。

参考資料の提供

 科学の社会史では,かつて紙の形で配布したことのある参考資料を授業サイトに掲載してみた。毎週の課題は,その資料を読んだ上で書くように指示した。参考書を紹介しても,ほとんどの学生は自分でその本を探して読もうとはしない。そこで,最低限読んで欲しいと思う参考書の一節を資料にまとめ,授業サイトに非公開の形で掲載した。これはかなり多くの受講者が読んでくれたようで(中間でのアンケート結果,水3クラス),効果があったと思っている。

授業ビデオ

 これまで,講義の録音を「授業ラジオ」といって公開してきたが,今学期後半からその代わりに「授業ビデオ」を公開してみた。これは,受講者に見せているスライドと授業SNSのタイムラインをパソコン上で音声とともに録画したものだ(こちらを参照)。ScreeFlowというソフトを使って作成している。これをYouTubeにアップロードした。この授業ビデオも受講者からは評判がよかった。

講義内容

 すべての科目について,基本的に従来通りの内容を扱った。授業時数が若干増えたが,それによる新たな内容の追加はほとんど行わなかった。科学の社会史と科学技術と倫理では,第8回あたりで「中間での振り返り」の回を設け,前半の講義の振り返りを行った。これは授業回数に余裕ができたことにより初めて行ったことだが,やって良かったと思う。

評価方法

 授業SNSを使った授業では,従来通り書き込みの数をもとに成績評価を行った。この方法による不都合は今のところ生じていないように思う。

授業アンケート

 今学期から授業アンケートの設問が一部変更になった。授業時間外の学習時間を尋ねる設問では,昨年度(自主的にこの設問を設けた)に比べると少し時間が減ったように思われるが,他の人間科学科目と比べれば,まだ多い方だと思う。単位制度の趣旨によれば,毎週3時間の自習が必要なのだが,それはあまりにも実態とかけ離れている。多くの学生が毎週1時間以上自習するようになるのが当面の目標だ。

科学の社会史(水3:n=55; 水7:n=10)
科学の社会史 授業時間外学習時間

科学技術と倫理(月2:n=11; 金2:n=17)
ste-jikan

 なお,科学技術と倫理の2クラスについては,紙の質問紙を使わずに,UNIPAからオンラインで回答してもらった。回答率は50%弱(月2:40.7%; 金2:47.2%)であり,紙で実施したときよりも若干少なめだった。周知が不十分だったかもしれず,もう少し試して様子を見る必要があるだろう。