'12年度後期 授業の反省

 今学期は,成績付けがちょうど終わったところで,授業の反省をする。

共同受講ブログ

 先学期は,授業用コミュニケーションシステムとして授業SNSを用いたが,今学期はまた昨年度と同様に共同受講ブログ(これなど)を使った。これで4学期続けたことになる。利用したのは,「科学技術コミュニケーション」を除く全ての科目,つまり「技術の社会史」2クラスと「科学技術と倫理」2クラス,それに「科学技術と現代社会」1クラスだ。

 今学期にまた以前のシステムである共同受講ブログに戻した理由は以下のようなものだった(先学期の授業の反省より)。

 昨年度の共同受講ブログとの違いは,その本質がストック型のブログではなく,フロー型のSNSになったことだ。メリットとデメリットがある。メリットは,フォロー,お気に入り,いいねなどのTwitterやFacebookで一般的になった情報共有機能があり,気軽にワンクリックで仲間と情報の共有ができる。いちいちリンクを張るなどしなければならなかったブログとはその点が違う。他方,情報共有は基本的にリアルタイムで行うことが前提となっているので,流れてしまった情報を遡って探すことは非常に手間がかかる。検索もできない。
 授業で使うことを考えると,上記のメリットよりもデメリットの方が大きかったように思う。そこで,来学期はまた共同受講ブログに戻そうかと考えている。

 しかし,前期と後期の両方のシステムを使った学生の意見では,授業SNSの方が良かったという。TwitterやFacebookといった既存のSNSに近いことが,そのような感覚をもたらしているのかもしれない。そこで,来学期は,再度授業SNSの利用を試みようと思っている。ただし,授業ツイートと課題は別の所にあった方がよいという意見を生かして,課題と授業ツイートは書き込み場所を区別する予定だ。共同受講ブログの利用は,依然として授業アンケートでは高い評価を得ているので,今後も改良しながら続けていきたいと思う(参考記事)。

講義内容について

 今学期も,講義内容は基本的に従来のものと同じであった。ただ,科学技術コミュニケーションの授業では,最近判決が出たイタリア地震裁判の話題を,予定にはなかったが扱った。

評価方法

 共同受講ブログを用いた授業では今学期も,書き込み数を基本とし,それに教員の評価を加味する形で評価をした。クラスサイズにより,教員点(授業冒頭において教員が紹介した書き込みに与えられる点)に不公平が生じているという声があり,それは確かに問題なので,係数を調節して公平化を図った。

DENDAI-UNIPA

 先学期は,科学技術コミュニケーションの授業資料をUNIPAで提供したが,使い勝手が良くなかったため,また自前の授業サイトで情報提供した。

授業アンケート結果について

 授業アンケートの評価結果は,多くの科目で横ばいかむしろ低下した(グラフ)。これは,単にクラスサイズが大きくなったことの影響とも考えられる。一般的に,受講者の数が多くなると評価が下がる傾向にある。だから,あまり気にしなくてもよいのかもしれないが,新たな展開が必要な時期に来ているのかもしれない。授業改善努力が評価の向上につながりにくくなっている。

 先学期と今学期で,私が担当したクラスでは,授業外学習時間を尋ねた。これは来年度から学部全体でも調査する予定の項目だ。その結果は,以下のグラフのようになった。それぞれの科目のために週当たり1時間以上自己学習している学生の数が半数前後いるということは,良く聞く日本の大学生一般の傾向からすると多い方ではないかと思う。これが,私の授業に特有のことなのか,それとも本学全体の傾向なのかは,来学期からの調査結果から明らかになるだろう。なお,ほとんど勉強していない層が各科目1割前後いるが,実際にはもう少し多いだろう(というのも,このアンケートは最後の授業に出席した比較的真面目な学生の回答だからだ)。その層が,成績評価でDを受ける(単位取得できない)受講者の割合にほぼ重なっているように思える。

2012年度田中浩朗担当科目の学習時間調査結果