今ほど,適切なリスク・コミュニケーションが求められている時はない。時々刻々と変わりつつある福島第一原発の現状と今後の推移の予測,そしてそれらへの対処方法についてきちんと広報される必要がある。しかし,東京電力や政府の記者発表は人々の不安を軽減するものではなく,不安は憶測を呼び,その憶測を打ち消すための言説が事態の悪化につながる恐れもある。いま最も求められているのは確かな情報(現在入手可能なデータとそれに基づく合理的な推測)だ。
私がいま最も信頼している情報源は,原子力資料情報室が配信する原発専門家(後藤政志氏ら)の解説Ustだ。特に昨晩(3/18)の田中三彦氏による事故発生メカニズムの推定は,今何が起こっているかを自分なりに納得するのに大いに参考になった。福島原発について不安を持っている全ての人が見るべきものだと思う。本来は,最もデータを持ち,原発の設計・運転に携わってきた東電や原子力安全・保安院が,こうした解説を内外に向けて行わなければならないはずである。
今はあらゆる専門知識を動員してこの危機に対処しなければならない時だ。後藤氏や田中氏は原発の一部の設計に関わった方なので,専門外のことについては,またそれぞれの専門家のコメントがあった方がよい。各分野で専門家によるUstが発信され,またそうした膨大な情報がキュレーターによって整理されていけば,これまでにない効果的なリスク・コミュニケーションが行えるのではないだろうか。
参考:福島原発事故の現状について(Ust, 2011/3/18,解説:田中三彦氏,後藤政志氏)
(注)冒頭から5分30秒あたりから田中氏の話が始まる。なお,原子力資料情報室のUst (http://www.ustream.tv/channel/cnic-news) アーカイブにもあるが,そちらは途中が切れている。
【天気】晴れ。
- 11:58 ブログ更新「リスク・コミュニケーション」昨晩の田中三彦さんのUstを見て考えたこと。いま福島原発で何が起こっているのかを知りたい人は,そのUstは必見です! http://bit.ly/gsEC4q