シラバス自己点検(2)科学技術と現代社会

シラバス自己点検の続き。「科学技術と現代社会」のシラバスを点検する。2/11最終更新

目的概要

【修正前】
科学技術が関わる現代社会の諸問題を多面的に考察することにより,科学技術と人間・社会との関わりを理解し,良識ある社会人として,また人としても優れた科学技術者として必要な教養と倫理観を身につけることを目的とします。今年度は,「核兵器」をテーマとして設定し,多面的に考察します。なお授業では,理解の助けとなるようビデオを多用します。

学生がすんなりと理解できるよう,次の3ポイントを意識して書き換えてみる。

  1. まず1行目に一言でその科目で学ぶことを端的に表現する。
  2. その後,少し具体的な情報を付け加える。
  3. 最終的に獲得を目指す能力を具体的に書いて終わる。

【修正後】

  • 科学技術が関わる社会問題の一例として,核兵器問題について学びます。
  • 特に,核兵器問題の歴史と核兵器に関わった様々な人々(科学者,政治家・軍人,被ばく者,作家・ジャーナリスト,一般市民など)について学びます。
  • 核兵器問題について多面的に考察することにより,現代の科学技術がもらたらす問題を多面的に考察する力を身につけ,自分が大学で学んでいる科学技術がもたらす問題,また身の回りやメディアで見かける科学技術がもたらす問題をも多面的に考察することができるようになることを目指します。

達成目標

【修正前】

  1. 「核兵器の可能性が生まれてから今日に至るまでの歴史の中で,それに関わった人々は何を考え,どのように行動したか,またその行動がどのような結果をもたらしたか」を理解し,理解度を確認する問いに正しく答えることができる。
  2. 本科目受講の際,「良識ある社会人として,また人としても優れた科学技術者として必要な教養と倫理観を身につけること」をできる限り意識し,本科目で学んだことと自らの教養や倫理観の変化を関連付けて述べることができる。
  3. 「科学技術が関わる現代社会の諸問題」に対する自らの関心を深めるとともに,この分野の知識の幅を広げるため,自分に合った多様な本を選び,それらの本を楽しんで読むことができる。

よりすっきりした目標とするため,上で修正した目的概要に含まれていた文言を利用する。

【修正後】

  1. 科学技術が関わる社会問題の一例として核兵器問題の諸側面を理解し,それぞれの事例について自分なりの説明をすることができる。
  2. 自分が大学で学んでいる科学技術がもたらす問題,あるいは身の回りやメディアで見かける科学技術がもたらす問題を多面的に考察することができる。
  3. 授業に関連する本を自らの関心に従って読み,書評を書くことができる。

成績評価方法

【修正前】
以下の5つの評価手段をもとに,達成目標がどれだけ達成されたかという観点から,評価を行います。なお,( )内は評価の際の比重です。

  1. 中間学力考査(30%):達成目標1に対応。
  2. 期末学力考査(40%):達成目標1に対応。
  3. 小テスト(15%):達成目標1に対応。
  4. 振り返りシート(15%):達成目標2に対応。
  5. 読書記録シート(ボーナス点,上限10%):達成目標3に対応

「科学と技術の社会史」と同様に以下のように修正。

【修正後】

  1. 小課題(60%):達成目標1に対応
  2. 期末レポート(20%):達成目標2に対応
  3. 書評レポート(10%):達成目標3に対応

事前・事後学習

【修正前】

以下は,教員が受講者に期待している標準的な学習方法と学習時間です。
【準備】 授業スライドのプリントアウト,教員が配布した資料,自分で入手した資料などを綴じるためのファイルを用意する。
【予習(各回20分)】 授業サイトで次回の授業のテーマ・内容を確認する。サイトに掲載されている授業スライドをプリントアウトし,下線やメモを書き込みながら読んでおく。小テストを受験し,講義において注意して聞くべきポイントをあらかじめ把握する。分からない用語等があれば,調べておく。
【授業(各回90分)】 予習時に利用したプリントアウトや受講ノートにメモを書き込みながら聴講する。「振り返りシート」に書くべきことが思い付いたら,それもメモする。授業終了時に,特に印象に残ったこと,感想,質問などを「振り返りシート」に記入して提出する。
【復習(各回40分)】
①予習・授業時に利用したプリントアウトや受講ノートをもとに,受講ノートの整理を行う。疑問点やさらに知りたいことは,まず自分で調べる。それで分からない場合は,授業サイトの掲示板などで教員に質問する。
②授業サイトで受けることのできる小テストを受験する。小テストは,単に授業で扱った事柄を確認するだけでなく,授業では扱えなかった情報を提供する場でもあるので,必ず受験し,その解説を通して理解をさらに深める。
【発展(毎週合計120分)】この分野を学ぶことに高い意欲をもっている受講者は,教員から提供された文献リスト(授業サイトに掲載)を参考にして自分の興味関心に沿った本を選び,毎日少しずつ(例えば20分ずつ)読む。1冊読み終わるごとに,「読書記録シート」(授業で配布)に感想などを記入し,各回の授業終了時に随時提出。

これも,「科学と技術の社会史」と同様に修正。

【修正後】

  • 授業サイトに掲載された講義動画などのコンテンツを利用して,予習・復習を行う。
  • 授業中に終わらなかった小課題レポートを終わらせる。
  • 各回のテーマに関することで興味を持ったことを,ウェブや本などを利用して自分で調べてみる
  • 授業に関連した本を読み,学期を通して継続的に読み,書評レポートを作成する。

テーマ・内容

【修正前】

1  ●ガイダンス
この授業の目的,テーマ,学習の進め方,成績評価方法などについて。授業サイトへの登録方法も簡単に説明します。ガイダンス後,自分でユーザー登録して,すぐに授業サイトを利用し始めることができます
【事前学習】シラバスをよく読む。もし不明な点があれば,ガイダンスで質問できるようにメモを用意する。(10分)
【事後学習】初回配布用シラバスをよく読む。授業サイトでユーザー登録を行い,授業サイトのコンテンツ(授業スライドや小テストなど)を利用して復習を行う。(30分)
2 ●原爆構想の始まり / 授業サイトへの登録
ウランの核分裂発見以降,原子爆弾製造の可能性を思いついた科学者たちの考えと行動,ならびにその時代背景について。また,授業冒頭で,授業サイトへの登録方法とその使い方をやや詳しく説明します。
【事前学習】授業サイトのコンテンツ(授業スライドなど)を利用して予習を行う。(20分)
【事後学習】受講ノートの整理を行う。授業サイトのコンテンツ(授業スライドや小テストなど)を利用して復習を行う。授業に関連のある本を毎日少しずつ読む。(160分)
3 ●マンハッタン計画
マンハッタン計画,特にそれに関わった科学者たちの考えと行動,ならびに機密保持をめぐる科学者と軍人・政治家との対立について。
 同上
4 ●原爆使用をめぐる科学者の議論
マンハッタン計画に従事した科学者たちが,原爆使用にともなう政治的・社会的問題に関してどのように考え行動したかについて。
 同上
5 ●原爆投下決定と外交
第二次世界大戦末期にアメリカの政治指導者は日本に対する原爆使用についてどのように考え,行動したかについて。特にアメリカの対ソ外交という観点から考察。
 同上
6 ●原爆による被害
広島・長崎に投下された原爆による被害,特に人間に対する物理的・社会的被害について。
 同上
7 ●原爆被害情報のコントロール
原爆被害の情報が日米政府によっていかに収集され,利用されたか,それが被爆者の治療や援護とどのような関係をもったかについて。
 同上
8 ●中間学力考査および解説
本講義の達成目標1の達成度を評価するための学力考査と解説を行います。
【事前学習】学力考査に備え,受講ノートや授業サイトのコンテンツなどを用いて本講義全体の復習をする。(150分)
【事後学習】学力考査で自分が誤って解答した箇所を復習する。(30分)
9 ●冷戦下の核実験と新たな被ばく者
冷戦下に続けられた核実験とそれによって生じた新たな被ばく者(核実験参加兵士,核実験場周辺住民,人体実験被験者)について。
【事前学習】授業サイトのコンテンツ(授業スライドなど)を利用して予習を行う。(20分)
【事後学習】受講ノートの整理を行う。授業サイトのコンテンツ(授業スライドや小テストなど)を利用して復習を行う。授業に関連のある本を毎日少しずつ読む。(160分)
10 ●アメリカ人の原爆観
1995年前後のスミソニアン原爆展論争や最近のアメリカ人映像作家の作品から,アメリカ人の原爆観とその変化を考察。また,これまで一般的だった原爆観の背景としてアメリカ政府の宣伝を検討。
 同上
11 ●科学者による核兵器反対運動
第二次大戦後,核兵器に反対した科学者(オッペンハイマー,ロートブラット,湯川秀樹)について。
 同上
12 ●核の拡散と国際管理
第二次大戦後の核兵器の拡散,およびそれを防ぐための核不拡散条約(NPT)体制について。
 同上
13 ●核と日本人
核と日本人の矛盾した関係を,核の「平和」利用の役割に注目しつつ考察。
 同上
14 ●核兵器の違法化をめぐって/振り返り
核兵器禁止条約などをめぐる現状について。また,本科目で学んだことを講義やアンケートなどによって振り返ります。
【事前学習】授業サイトのコンテンツ(授業スライドや小テストなど)を利用して予習を行う。受講ノートや読書記録シートなどを用いて,本講義全体で自分は何を学んだのかについて振り返る。(180分)
15 ◆学力考査および解説
本講義の達成目標の達成度を評価するための学力考査と解説を行います。
 【事前学習】学力考査に備え,受講ノートや授業サイトのコンテンツなどを用いて本講義全体の復習をする。(150分)
【事後学習】学力考査で自分が誤って解答した箇所を復習する。(30分)

「科学と技術の社会史」と同様に,第1回ガイダンスと第2回授業を合体させるとともに,中間と期末の学力考査をなくして浮いた2コマ分を期末レポートの執筆に充てることにした。

【修正後】

1  ●ガイダンス
この授業の目的,テーマ,学習の進め方,成績評価方法などについて。授業サイトへの登録方法やその使い方も説明します。ガイダンス後,自分でユーザー登録して,すぐに授業サイトを利用し始めますので,必ずパソコンやタブレットなどを持参してください。
●原爆構想の始まり
ウランの核分裂発見以降,原子爆弾製造の可能性を思いついた科学者たちの考えと行動,ならびにその時代背景について。
【事前学習】シラバスをよく読み,この科目の概要について理解する。授業中に教員に質問できるよう,シラバスの不明な点はメモしておく。(20分)
【事後学習】授業サイトのコンテンツを利用して復習を行う。小レポートを作成する。班のメンバーの小レポートを読み,コメントをつける。授業に関連のある本を毎日少しずつ読む。(240分)
2 ●マンハッタン計画
マンハッタン計画,特にそれに関わった科学者たちの考えと行動,ならびに機密保持をめぐる科学者と軍人・政治家との対立について。
【事前学習】授業サイトのコンテンツを利用して予習を行う。(20分)
【事後学習】授業サイトのコンテンツを利用して復習を行う。小レポートを作成する。班のメンバーの小レポートを読み,コメントをつける。授業に関連のある本を毎日少しずつ読む。(240分)
3 ●原爆使用をめぐる科学者の議論
マンハッタン計画に従事した科学者たちが,原爆使用にともなう政治的・社会的問題に関してどのように考え行動したかについて。
 同上
4 ●原爆投下決定と外交
第二次世界大戦末期にアメリカの政治指導者は日本に対する原爆使用についてどのように考え,行動したかについて。特にアメリカの対ソ外交という観点から考察。
 同上
5 ●原爆による被害
広島・長崎に投下された原爆による被害,特に人間に対する物理的・社会的被害について。
 同上
6 ●原爆被害情報のコントロール
原爆被害の情報が日米政府によっていかに収集され,利用されたか,それが被爆者の治療や援護とどのような関係をもったかについて。
【事前学習】授業サイトのコンテンツを利用して予習を行う。(20分)
【事後学習】授業サイトのコンテンツを利用して復習を行う。小課題を行う。この週までに書評レポート(1冊目)を提出する。(240分)
7 ●冷戦下の核実験と新たな被ばく者
冷戦下に続けられた核実験とそれによって生じた新たな被ばく者(核実験参加兵士,核実験場周辺住民,人体実験被験者)について。
同上
8 ●アメリカ人の原爆観
1995年前後のスミソニアン原爆展論争や最近のアメリカ人映像作家の作品から,アメリカ人の原爆観とその変化を考察。また,これまで一般的だった原爆観の背景としてアメリカ政府の宣伝を検討。
 同上
9 ●科学者による核兵器反対運動
第二次大戦後,核兵器に反対した科学者(オッペンハイマー,ロートブラット,湯川秀樹)について。
 同上
10 ●核の拡散と国際管理
第二次大戦後の核兵器の拡散,およびそれを防ぐための核不拡散条約(NPT)体制について。
 同上
11 ●核と日本人
核と日本人の矛盾した関係を,核の「平和」利用の役割に注目しつつ考察。
 同上
12 ●核兵器の違法化をめぐって
核兵器禁止条約などをめぐる現状について。
【事前学習】授業サイトのコンテンツを利用して予習を行う。(20分)
【事後学習】授業サイトのコンテンツを利用して復習を行う。小課題を行う。この週までに書評レポート(2冊目)を提出する。(240分)
13 ◆期末レポート作成(1)
2000字程度の期末レポートの草稿を作成します。
【事前学習】期末レポート作成のための資料を収集し,ある程度構想を練っておく。(200分)
【事後学習】期末レポートを完成させる。(60分)
14 ◆期末レポート作成(2)
期末レポートの草稿をグループ内で読み合い,互いにコメントを付けます。その上で,草稿を修正して最終版レポートを作成します。
【事後学習】期末レポートを完成させ,それについて自己評価を行う。(260分)

これで,来年度のシラバスのめどがついた。夜間部は,従来通り1学期15回だが,昼間部の12回と13回の間に「振り返り」の回を置いて復習と補足を行うことで昼間部とほぼ同じ内容を扱うことができるだろう。

2/11追記

最終的には,達成目標と評価方法から読書に関する部分を削除し,授業内容もそれに対応して修正した。毎回小レポートを提出した上に,読書まで課すのは負荷が大きすぎると考えたため。それでも,学生にとっては高負荷な授業と見られそうだ。