教材設計マニュアル

 鈴木克明著『教材設計マニュアル——独学を支援するために』(北大路書房、2002年)を読み始める。ウェブ教材の充実のため。
 鈴木氏のウェブサイトも参考になる。
 鈴木氏の出演している放送大学講義「人間情報科学とeラーニング」も見てみたいと思った。(再放送は1/28から。)

12/22追記
 独学を支援する教材作りが大学教育にとって極めて重要だということに気づいた。大学の講義は、授業90分に対して180分の自習が前提とされているが、実際にはその自習をしている学生は極めて少ない。というのも、教員は自習の手だてをきちんと提供していないし、授業を受けるのに自習をしていることが必要不可欠の条件とはなっていないからだ。(もちろん、過剰履修で自習をする時間が確保できないという問題もあろう。)自習時間にする独学を支援する教材が提供できれば、授業では教員と他の受講者がいる教室でなければできないような質疑応答やディスカッションに集中することができる。そして、これこそが高校までの学習とは異なる大学本来の学習となるだろう。

12/24追記
 『授業設計マニュアル』読了。授業改善の方向性が見えてきた。目標は、2単位科目の標準学習時間である90時間分(本学では1時間を45分としているので、実際には67.5時間分)の学習について適切な支援ができる教材を作ること。この学習時間の2/3以上は自習となるので、自習をいかに支援するかが重要である。授業サイトを作るなど、私なりに試行錯誤してきたが、この本で解説されているアメリカ流のInstructional Design(ID、教授設計)は大いに参考になった。授業やウェブでの教員や他の受講者との交流をいかに学習に役立つものとするかということについての方法論も学び、大学の講義科目に最適なIDの形を模索したい。こうした目標はそう簡単に達成できるものではないので少なくとも数年はかかるだろう。
 大学教員へのIDの研修が重要だと思う。大学のFD研修などでその表面的な啓蒙はなされることがあるが(たとえば、こちら)、本格的な研修がないと意味がない。8年前の大学審議会答申の次の部分もIDについての深い理解なしにはその意義が十分理解できず、したがって実現もできないだろう。

(イ)成績評価基準の明示等
 学生の卒業時における質の確保を図るため,教員は学生に対してあらかじめ各授業における学習目標や目標達成のための授業の方法及び計画とともに,成績評価基準をシラバスなどに明示した上で,厳格な成績評価を実施すべきである。成績評価基準は各授業科目を担当する教員が授業の目的等に沿って適切に定めるべきものであり,学期末の試験のみでなく学生の授業への出席状況,宿題への対応状況,レポート等の提出状況等,日常の学生の授業への取組と成果を考慮して多元的な基準を設定することが望ましい。