’06年度後期 授業の反省

 今学期も、授業が終わりかけた時点で今学期の反省をする。

授業サイトについて

 今学期は授業サイトをMoodleで構築した。昨年度前期以来、MovableTypeNetCommons → MovableType → Moodleと毎学期システムを変え、その変更作業がかなり大変だったが、ひとまずMoodleで落ち着きそうだ。
 Moodleの利点は、大学の授業を進める上での機能が充実していること。レポートの提出やフィードバックなどはなかなか便利だ。
 今学期は教室での授業と授業サイト上の活動の連携がほとんどなかったが、うまく関連づけられればさらに有用なツールとなるだろう。
 毎週ネット上で小レポートを提出させたため、以前よりも授業サイトの利用度は高まったように思われる。しかし、授業スライドファイルを除くと、サイトに掲載した情報を十分利用していない受講者も少なくなく、まだ工夫の余地は大きい。
 今のシステムでは授業サイトの中身を見ることのできるのは受講者のみとなっているが、一般公開したい部分もあり、その区別を自在にできないのが困った点である。Moodleのバージョンアップ(1.6→1.7)をすることでその辺は解決するかも知れない。

科学技術史Bの講義内容について

 昨年度と基本的に同じ内容。しかし、現在に近いところ(1980年代以降)は昨年より少し充実したかもしれない。この内容の講義は今学期が最後となる。来年度は新カリ科目「技術の社会史」が始まり、旧カリの学生は「科学技術史B」としてその科目を受講することができる予定。

技術者倫理の講義内容について

 前学期とほぼ同じ内容だが、今学期初めて、最後の2回を使ってロボット倫理を扱った。クラスディスカッションも初めて取り入れたが、私としてはそれなりにうまくいったような気がしている。演習的な内容を求める声は以前からあるので、こうした試みを今後も続けてみたい。

定期試験について

 定期試験のやり方は前学期とほぼ同じだが、科学技術史Bについては自筆手書きノートに加えて教科書の持ち込みも可とした。科学技術史Bで使っている教科書は岩波学術文庫に収められた2冊の本で、詳しい目次も索引もないもの。それを持ち込んで答案作成に活用できるのは、普段からこの教科書にたくさんの書き込みをしていて目的の箇所をすぐに探せる人だけであろう。どれだけ平均点がアップするか楽しみだ。

*** 補足(2007/1/25) ***

成績評価について

 今学期は、科学技術史Bと技術者倫理で得点調整をほとんどしなかった。素点平均点が上がったということもある。その背景には、持ち込み範囲を広げる、小レポートの得点を加える、論述式の問題を減らす、受講者が精選された、など様々な要因があったと考えられる。しかし、科学技術史Bの方は素点平均点が50点余りと決して高くはなかった。それでも全体的な得点調整をしなかったのは、それが成績データの改竄(捏造)になってしまうからである。今回、科学技術史Bの試験では教科書の持ち込みまで許可した。これにより、試験の難易度はかなり下がったはずである。日頃から教科書を読み込み、授業をきちんと受け、さらに小レポート課題にも取り組んでいれば決して難しすぎるということはないはずである。残念ながら多数の不合格者を出してしまったが、これが受講生の実態なのだということを肝に銘じて今後の授業改善に取り組んでいきたい。
 なお、今学期の試験では不正行為(禁止された資料の参照)が見つかった。今学期の定期試験の成績がすべて無効となるとともに、停学処分という懲罰が与えられた。本人は自分のした行為の重みを思い知ったと思うが、そのようなことになるということをより強く周知すべきだと思う。私の授業でもそうしようと思う。

授業評価アンケートについて

 学生による授業評価は全般的に上がっている。しかしこれは、受講者が以前に比べ半分以下へと減っており、授業に比較的まじめに取り組んだ学生の割合が増えたことによるとも考えられるので、素直に喜ぶことはできない。
 授業ウェブサイトの構築にMoodleを使ったことが今学期の大きな変更点だったが、このことについては比較的肯定的に評価されているようだ。使い勝手の向上や学生同士の討論への発展などが今後の課題だ。

【天気】曇り。