第12週が終わったところだが,今学期の授業の反省をする。2018.2.5最終更新
講義ビデオ
今学期の新たな試みは,講義ビデオをVimeoを使って提供したことである。これまでも,パソコンの画面キャプチャソフトScreenFlowを使って,講義スライドと講義の音声を組み合わせたビデオを作成し,YouTubeで提供したことはあった(→こちら)。その意味で新しさはほとんどないが,Vimeoという有料サービスの使い勝手の良さは良く分かった。有料プランで一番安いVimeo Plus(税込年9072円)だが,アップロードの時間が短く,ビデオ編集からアップロード完了まで1コマの授業で30〜40分程度で済んだ。これがYouTubeや無料プランのVimeoだともっと時間がかかるのだ。
講義ビデオは,受講者の自習および復習のために提供したのだが,学力考査前以外はほとんど見られていない1。つまり,当初の目的で使用している受講者はほとんどいないことが分かった。単に講義ビデオをネットで見られるようにしても,学生は見ないということが良く分かった。
なお,授業アンケートで,この講義ビデオに言及するものは少なくとも昼間部のクラスでは皆無だったが,夜間部のクラスでは役に立ったという声がいくつかあった。仕事の関係で授業を欠席する学生が多いようなクラスではそれなりに意味があったのだろうか。しかし,コストパフォーマンスは非常に悪いので,もし講義ビデオを作る場合は,それなりの工夫が必要だと思う。
読書記録シート
前期に引き続き,読書記録シートを配布し,授業に関連する本の読書を推奨した。全体的に前期よりも提出された読書記録は少なかった。各クラスの読書記録シート提出枚(人数)は以下の通り。
技術の社会史 (水3) 5名; (土3) 17名
科学技術と現代社会 (金2) 9名; (土4) 2名
科学と技術の社会史 (月2) 6名
合計39名(全履修者数の8.5人に1人が提出した計算)
小テスト
今学期も,授業サイトにオンライン小テストを設定した。問題はすでに作ってあるものを流用しているので,新作問題はほとんどない。今学期は,最終的な成績評価に15%ほど反映させると言ってあるが,それでも普段の受験率はそれほど高くない。恐らく学期末に駆け込みで受験するのだろう。→やはり,最後の駆け込みで,ほとんどの受講者が小テストを受験した。
学力考査
今学期は,中間と期末の2回の学力考査を実施。形式はこれまで同様,ほとんどがマークシート式で,それに1〜2問程度の記述式の問題を加えている。中間考査は難易度を下げたため,比較的出来が良かった。期末考査は若干難易度を上げたため,全体を通じてちょうど良い得点分布となった。
振り返りシート
前期に引き続き大福帳方式の振り返りシートとした。指定席制で,各列に封筒を用意し,一番前の席に封筒を置いて,授業前に各自が取りに来て,授業最後に各自が提出しに来る方式にしたところ,非常にスムーズな配布・回収が行えた。
指定席制については,授業アンケートで数名の不満が見られたが,全体としては特に問題ないと思われる。しかし,この大福帳方式を来学期も継続する予定はない。
終わりに
今学期は,全体的に従来通りの内容・方法により授業を進め,一部改良を施したため,特に問題なく終えることができそうである。授業アンケートはまだのため,学生の反応はまだ分からないが,恐らく従来とあまり変わらないのではないだろうか。→予想通り,今学期も例年と大差ない結果となった(数値的には若干の改善が見られる)。
ただ,授業を通して積極的に学ぼうという姿勢が見られる学生が少なくなってきているように思えるのが気になる点である。教員からの働きかけに応えてくれる学生が少ないので物足りない感じがするのだ。
“telling and testing” pedagogyの限界をひしひしと感じている。その限界を超える新しい授業方法を来学期は試してみたい。
来年度に向けて(2018.1.18)
来年度のシラバスは,以下のような授業の方針に基づいて作成した。
- 内容的には,ほぼ従来通りの授業を行う。
- 各回授業最後に行っていた振り返りシートへの記入は,授業サイト上にあるブログへの投稿へと変更する。その内容は受講者全員に公開され,また他の受講者からコメントを受けることができる。
- 各回の授業時間外に小レポートを作成して,同じくブログに投稿させることとする。これも,コメントを受けることができる。受講者は,互いに学習成果を公開し,それをもとに交流することができる。
- 中間・期末の学力考査は実施せず,期末レポートを課す。これは最後の授業2回分を使ってじっくり執筆と交流をさせる予定。
- 各回の講義にグループディスカッションを導入する。
- 全体として,アクティブラーニングの度合いを高めるとともに,telling and testing pedagogyではない授業を目指す。
- 上記の授業を実現するために,SLSS(Social Learning Support System, ソーシャルラーニング支援システム)2を導入する。この導入は2019年度を考えていたが,上記のような授業をするにはSLSSが一番なので,ともかく試してみることにする。
注
- 各ビデオの再生回数と最後まで観た数はVimeoのサイトで分かるようになっている
- CommentPress/BuddyPress/WP Coursewareを中核とした授業サイトをとりあえずこのように呼ぶことにした。