教学IR:内部質保証の漸進

3/14開催のお茶の水女子大学公開全学FD/SD会2017「教学IR:内部質保証の漸進—シラバス・授業アンケート・学修行動調査」に参加した。テーマは下記の3つ。

  1. 好評シラバスのわけ 本学評判シラバスの授業担当者に聞く
  2. 授業アンケートnigalaによる発見 内部質保証基盤としてのnigalaがあかした諸事実
  3. 学修行動調査ALCSからみえてきたこと 教学比較IRが捉えた本学学生の凡庸さと非凡性

1について。シラバスの改善はどの大学でも課題のようだ。授業アンケートでシラバスに関する評価が高い教員3名に工夫していることなどを語ってもらう企画。日本語学の先生の話がとても役に立った。新書のタイトルや見出しのようなわかりやすく,興味を引く表現。身近な問いから入って,学問へと引き込むなど。

2について。nigalaとは授業アンケート結果をビジュアルでわかりやすく表現するシステム。学生の成績などについてビジュアルで表現するシステムがalaginというらしく,その逆とのこと。全学のアンケート結果を様々な切り口で比較して,分析できる。もちろん,個別結果も各教員にはフィードバックし,全体との比較ができる。学生も教員も,全体における自分の位置を知ることができ,それが自らの学びや教育を振り返るきっかけを与えることになる。興味深かった結果は,クォーター科目よりもセメスター科目や通年科目の方が学生の評価が高かったこと。これが単に授業期間の長短による結果なのか,それともクォーター科目や通年科目に含まれる具体的な科目の違いによるのかは明らかにされていなかった。今後のさらに詳しい調査結果が望まれる。

3は学生の学修行動調査を複数大学で行って,比較するシステムALCSとその調査結果の紹介。驚いたのは,参加大学の学生が毎日3時間以上アルバイトをしているということ(お茶大生は3時間をわずかに下回っていた)。これでは,授業時間外学習を増やすのはほとんど不可能だと思う。授業時間外学習が1時間余りとなっていたが,それがせいぜいだと思う。

alaginやnigalaといったデータをビジュアルでわかりやすく表現するシステムはとても参考になる。これを全体傾向のみならず,個別科目(群)の分析に利用できれば有効なFD活動ができるだろう。しかし,お茶大では,個別科目のアンケート結果は学内公開していないということだ。その点で,本学(電機大)はかなり進んでいると思う。

教学比較IRは本学も参加していいと思う。現在もPROGというので,ジェネリックスキルに関する調査結果を他大学と比較しているが有用な知見が得られていないと思う。