カンニングはなぜいけないか

入試不正行為事件に対するコメントで,カンニングごときで逮捕するのは行き過ぎだといったものがある。カンニングなんて昔からあったし,大した問題ではないという意見もある。私は今回の事件を起こした人を偽計業務妨害容疑で逮捕するといったことには強い違和感を覚えるが,それはカンニングが大した罪ではないから,ということでは全くない。

では,なぜカンニングはいけないのか。カンニングは,大学の試験という業務を妨害するから悪いのではない。それは,大学という学問をする場において,ウソをつくことになるからだ。学問をする場において,学問に関することでウソをつくということほど許し難い行為はない。学問に携わる者はそう考えているはずだ。学問をする場において,知的誠実さ(Academic Honesty)は何にも増して大事なことなのだ。だからこそ,剽窃(盗作)が発覚すると,大問題になり,場合によっては学者生命を失うことにまでなるのだ。学生なら退学させることもある。大学教員がコピペレポートをなぜそれほどまでに問題視するのか。それは,そこにウソがあるからだ。自分で書いたものではないものをあたかも自分で書いたかのように見せかけるというウソだ。だから,入試でカンニングがあれば,それをした人は当然ながら大学には入れない。学問においてウソをつくような者は学問をする資格はない。入試結果は不合格。それで十分だ。私の違和感は,学問のコミュニティに警察が関与することから来るのであろう。

 

  • 13:49  ブログ更新「サイボーグのための試験とは」。近頃話題の大学入試不正行為についての雑感です。 http://bit.ly/hOm4d7