サイボーグのための試験とは

 入試において携帯電話か何かで外部と連絡をとって不正行為を行ったことが社会問題化し,警察の捜査まで始まっているが,こうした行為はいずれ起こると予想できたはずだ。

 アニメ「攻殻機動隊」や「電脳コイル」などで描かれているサイボーグあるいはサイバノイドが普通に存在する社会では,カメラが目になり,脳がコンピューターやネットとつながり,特別な道具を使わずにネット検索したり他人と交信したりすることは当たり前のことで,そうでない状態こそが普通でない状態となる。試験場で自分の頭だけで試験問題を解くということは,サイボーグを相手にしては無意味であり,もし試験をするなら全く別のやり方をしなければならないだろう。

 今の若者は人間がサイボーグ化していく過渡期の存在だ。サイボーグにふさわしい試験のあり方を考えなければならない。これまでの試験(ペーパーテスト)に代わる良い方法はまだよく分からないが,ともかく大学人はそれを模索しなければならない。

 ちなみに,レポートのコピペ問題も根は同じである。ネット検索によるコピペが容易になった現代においてどのようなレポートのあり方がふさわしいか,単にコピペルナーでコピペ摘発をし続けるだけでは問題の解決にはつながらない。

 そうしたこととは別に,今回の不正行為に対する大学やマスコミの対応にはかなりの違和感を感じている。もし大学の定期試験などで,学生が何らかの方法でカンニングをしたときに,その学生の行為を偽計業務妨害だといって警察に被害届を出すだろうか。試験の公正さを損なう行為ということなら一般的なカンニングもそうだ。カンニングをした学生を,偽計業務妨害だといって警察に渡すことができるだろうか。

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