「教育では評価が重要だ」ということは,教育業界では常識であるが,では高等「教育」機関である大学で,学生をどう評価するかということが十分議論されてきただろうか? 現状では,評価方法・評価基準などは各教員に一任されており,全学的に議論されたことはないと思う。
実は,私は学期末に学生の成績をつける際,いつも悩んでいて,今回も悩んでいる。いろいろ試してはいるが,これといった決定版の評価法を見つけるには至っていない。他の先生方がどのように成績をつけているのか,何かいい方法はないか,切実に知りたいと思う。
学生の評価法の研究ということも,大学改革の中心的な問題だと私は思っている。
学生を評価するには,学生にどのようになってもらいたいのかという理想像があるはずである。その理想像は大学をどのように改革するかということに連動している。大学改革で,<この大学はこのような人材を育てます>と方針を立てたならば,それに対応して<学生がそのような人材になっているかどうか>評価する必要がある。そしてその評価の結果は,授業や改革のあり方の改善に役立てられるべきだろう。
学生をきちんと評価することは,大学での教育が有効に機能しているかどうかを確認する上でとても重要なのだ。
大学での学生評価がきちんとなされてこなかった理由の一つは,大学教員が自分の教育の効果に自信がなく,効果のなさが明るみに出ることを恐れていたからではないだろうか?
大学の存在意義が社会的に問われている現在,大学は積極的に自らの教育活動の成果を客観的に社会に示すことが求められている。そのためにも,学生の評価方法や評価基準について全学的に研究する必要がある。
(15分間大学改革研究No.4を転載)