学生評価の例(1) ~出欠とレポートで評価する~


 私が今学期担当している教養科目「科学と人間」では,出欠状況とレポートの出来で評価をすることにした。

 私の場合,出欠は「出席票」というB6判のザラ紙を授業開始時に出席者に配布し,授業終了後に回収する方法で確認している。

 この出席票は,単に出欠を確認するためだけでなく,感想・質問カードも兼ねていて,その授業で印象に残ったこと,感想・質問などを書いてもらうようにしている。授業後,出欠を確認するとともに,その書かれた内容を読み,次の授業で紹介した方がいい感想や質問を選んでいる。なお,書いたことの公開を希望しない学生もいるので,その意志表示をするためのチェック欄も設けている。

 出欠状況を成績にどのように反映させるべきかということは,その授業の目的や性格によって異なるだろうが,この授業の場合,授業で多くのビデオ映像を見せ,私が様々な問題提起やものの見方を提示する,という方法をとっているため,出席に代わる勉強法はなかなか難しいと考えられる。そこで,出席を成績に反映させる割合を比較的高くしている。とはいえ,出席していれば自動的に授業目的が達成されるわけではないので,成績の基本はレポートの出来で決めるようにしている。

 出欠状況を成績に反映させる具体的な方法は次の通りである。

  全14回(授業13回と授業レポート1回の合計)のうち
    0~ 6回・・・無資格
    7~11回・・・レポートの評価のまま
   12~14回・・・レポートの評価より1ランクアップ

 さて,この授業の評価の基本となるレポートの評価方法だが,前出の「2.レポートの書き方を教えるべし」で紹介した「レポート執筆の際のチェックリスト」を利用することにした。すなわち,次のようにである。

  クリアできていない項目の数が(全項目数は16)
   0~3・・・内容が比較的良ければ・・・・・優
         内容があまり良くなければ・・・良
   4~9・・・・・・・・・・・・・・・・・・可
   10以上・・・・・・・・・・・・・・・・・不可

 私の願いとしては,すべての項目をクリアして初めて「レポート」となるのであり,それ以外は「レポート」以前,したがって不可としたいところであるが,そうするとほとんどの受講生が不可になってしまうので,ここまでは譲れないという最低ラインを上記のように設定した。そのほかの基準に関しては,無作為にいくつかのレポートを読んだ上で,今まで感覚的に優・良・可とつけていたものとクリアできていない項目の数を比べて,暫定的に設定した基準である。

 まだレポートを全部読み終わっていないため,最終的にどのような成績分布になるか分からないが,分かったらその結果を考察したい。

   *      *      *

【2000.2.18.(金)追記】

 さて,採点が終わり,成績が出た。

 レポートのみによる採点結果は以下の通り。

   優・・・・ 9名( 6.0%)
   良・・・・15名(10.1%)
   可・・・・94名(63.1%)
   不可・・・31名(20.8%)
   計・・・149名

 私の希望に反して,可と不可がかなり多い。ちなみに,「レポート執筆の際のチェックリスト」でクリアできていない項目の数の平均は7.1であった(全16項目中)。

 しかし,上記方法により出欠状況を加味して評価した結果は以下の通りであった。

   優・・・・18名(10.1%)
   良・・・・72名(40.4%)
   可・・・・43名(24.2%)
   不可・・・14名( 7.9%)
   未受験・・13名( 7.3%)
   無資格・・18名(10.1%)
   計・・・178名

 かなり成績が上にシフトして,今まで感覚的につけていた成績分布と余り変わらなくなった。この評価方法は使えそうである。

 ちなみに,レポート提出者149名の出欠状況は以下の通り。かなり多くの学生が1ランクアップした。(ちなみに,介護等体験と教育実習による欠席は出席扱いにしている。)

   14~12回・・・102名(68.5%) → 1ランクアップ
   11~ 7回・・・・45名(30.2%) → そのまま
    6~ 0回・・・・・2名( 1.3%) → 無資格

(15分間大学改革研究No.5を転載)