レポートの書き方を教えるべし

 今日は最初なので気分ものっているせいか,2回目の15分研究である。

 学生のレポートを読んでいていつも感じることは,学生がレポートの書き方を知らないのではないかということである。いま読んでいるのは教養科目のレポートなので1年生が多いのだが,もう後期なので初めてレポートを書いたという学生は少ないだろう。それでも,これである。

 これは1年生に限ったことではなく,4年生になってもまともなレポートを書いてこない学生が多い。そのため,私はレポートの課題を出すときに,「レポート執筆の際のチェックリスト」を付け,「レポート」を書くときには何に気を付けなければならないのか,教師はどこを見て成績を付けているのかを知らせようとしている。

 そのチェックリストとは次のようなものである。

レポート執筆の際のチェックリスト

□ レポートはワープロで書きましたか?

□ レポートの内容が分かるような具体的(限定的)なタイトルをつけていますか?
□ 内容に即したタイトルをつけていますか? タイトルに即した議論を展開していますか?
□ このレポートのテーマとこの授業のテーマとの関係は明らかですか?

□ 全体の文章をいくつかの節に分け,それぞれに小見出しをつけていますか?
□ レポートの論点は明確ですか? 導入から結論・まとめまで論理的に展開していますか?
□ 自分なりの(自分独自の)疑問・問題を軸に論述を展開していますか? 自分だけの情報や意見といったオリジナリティがありますか?
□ テーマは一つに絞られていますか?

□ 参照した資料の内容と自分の主張をはっきり区別して書いていますか?
□ 事典的・教科書的内容は自分の論述を進める上で必要な部分だけに限定されていますか?
□ 引用は,自分の議論を展開するうえで必要な最小限の範囲にとどめられていますか?

□ この半期の間の勉学の成果としてレポートの内容は少なくありませんか? 内容をもっと充実させるべきではないですか?

□ 最後に参考文献一覧をつけましたか?
□ 参照された文献の発行年等を省略しないで書きましたか?
□ 参考資料が少なくありませんか?
□ 大学の図書館にある関係文献はきちんと参照しましたか?

 学生の中には,すべてのチェック項目すべてにチェックを入れているにも関わらず,それらの項目がほとんど実現していないものもある。

 以上のような経験から,学生にはレポートの書き方を「きちんと」指導する必要がある,と結論することができる。今の大学のカリキュラムには,レポートの書き方を指導する時間が確保されていない。通常の授業でレポートの書き方を「きちんと」指導する時間的余裕は全くない。パソコンを全学生必修にしたのと同じように,レポートの書き方も必修で教えるべきである。実際にそのような授業をしている大学はいくつもあるのだ。

(15分間大学改革研究No.2を転載)