授業内レポート方式に対する学生の評価

 授業最終回に行った授業評価アンケートのうち,「授業内レポート方式」に関する質問項目について集計が終わった。その結果は以下のグラフの通りである。(画像をクリックすると大きくなる。)

 「技術者倫理」の方はサンプル数が少ないので確かなことは言えないが,傾向は「技術の社会史」と同様と見てよいだろう。ここでは「技術の社会史」のデータをもとに検討する。
 全体的に見て,この方式の授業に好意的な回答が多かった。「丸暗記の勉強に陥らない」「各回の授業の目標が明確」という回答は80%を超えた。また,「緊張感をもって臨める」「私語が少ない」「退屈しない」「知識や能力が身に付く」といった回答も60〜70%となっている。漫然と講義を聴いて,試験前ににわか勉強をするという悪しきパターンを脱していると評価できるのではないだろうか。
 説明時間が通常の講義の半分以下になって,分かりにくくなるのではないかと心配したが,「説明時間が少なくて分かりにくい」と答えた人は15%で,そうでないと答えた人(30%)の方が多かった。また,「毎回テストされているようでいやだ」「毎回同じことのくり返しなので単調だ」といった否定的な回答も少なかった。毎回レポートを書くということを嫌う学生が多いのではないかと心配したが,「講義だけの授業の方が楽でよい」という回答は24%でそれほど多いわけではない。それを否定する回答も21%ある。
 毎回すべてのレポートを採点し,一部のレポートには添削やコメントを付して返却したことについては,「ためになる」と回答した人が50%を超えた。他方,「何を書けばよいのか分からないことが多い」が34%,「レポートを書く時間が不十分」が44%と,今後の授業を進める上での課題も明らかになった。
 総括的な評価としては,「総合的にみて授業内レポート方式の方がよい」との回答が53%,「今後も授業内レポート方式を受けてみたい」との回答が47%となり,他方否定的な回答はどちらも10%未満ということで,初めての試みとしては予想以上によい結果が出たと言えよう。