Schooled: The Story of an Education

Dr. Lodge McCammon, Schooled: The Story of an Education, North Charleston, South Carolina: CreateSpace Independent Publishing Platform, 2018, 196pp. (Kindle ed.)

2018.2.25読了。

McCammon氏の教育をめぐる自伝。同氏は,高校教員,大学の教育関係の研究所の所員などを経て,現在教育コンサルタントをしている。同氏が自らの名前を付けたMcCammon Methodを提唱するに至るまでの自らの被教育歴と教員あるいは教育研究者としての教育歴について時代を追って綴られている。

現在,McCammon氏のウェブサイトYouTubeサイトには,多数のビデオが掲載されており,それを見れば,同氏の考えは大体分かる。すでに大体のビデオを観ているので,考え方自体はすでに知っていた。しかし,そうしたビデオがどのような背景の中で生まれてきたものかは,この本を読んで良く理解できた。

McCammon氏の考えを要約しておこう。

  1. アクティブラーニングが教育上有効である。
  2. アクティブラーニングは時間がかかり,従来の講義中心の授業の中には導入しにくいが,それは講義をビデオに撮ることで解決できる(ビデオに撮ると,講義は60-80%短くすることができる。つまり60分の講義は15分程度になる)。
  3. 講義のビデオは,教員が自らの教育を振り返り,向上させるきっかけとなるとともに,そのビデオは親や社会に対する説明責任を果たすことにつながる。
  4. アクティブラーニングとしては,音楽や体を動かすことを導入するのも有効である。
  5. 生徒にも,グループで,学んだことを発表するビデオを作成させるとよい。それは,生徒が教え合う機会を与え,学習結果の評価に使えるとともに,親や社会への説明責任を果たすことにもつながる。

意外だったのは,Paperslideが最初,アクティブラーニングの一種として生徒にビデオを作らせる方法として始まり,その後に教員が自分の講義をPaperslideで作ることが始まったということである。私は逆だと思っていた。

この本は,単に自分の考えや実践の発展を示すだけでなく,それを社会に広める上で遭遇した様々な困難についても詳述している。これは,新しい試みを広めようとする人にとって参考になるだろう。

Kindle版は500円もしないので,多くの人に一読をお薦めしたい。