1年遅れとなったが,まだ昨年度後期の授業の反省を書いていなかったので,記憶にある限りで授業の反省をする。
読書会
前期に引き続き,「科学技術と現代社会」(昼間部,夜間部1クラスずつ)で読書会形式の授業を実施した。読書会と講義の組み合わせも考えはしたが,結局前期と同様に,高木仁三郎『市民科学者として生きる』(岩波新書)を毎週1章ずつ,半期かけて読んでいく形とした(新たな試みの準備ができなかったため)。
読書会自体は,それなりにうまくいったように思うが,問題は履修者数が非常に少ないことである。受講した学生の授業評価は高かったものの,少数の学生にしか受け入れられない授業形態のようだ。そのため,次年度(2016年度)は読書会形式をやめることとした。
授業SNS
「技術の社会史」では,今学期も授業SNSを利用した。先学期から変更した点は以下の通り。
- 1週間で獲得できるポイントに上限を設けるのは先学期と同様だが,先学期は授業中の上限を10pt,授業外の上限を5ptとした。今学期は,授業内外の投稿(ツイートとコメント)を合わせて上限を10ptとした。また,先学期と同様に,授業SNSへの書き込み全体を教員が質的に評価して成績に反映した。
- 各回の課題の評価は,先学期と同様に,量的評価と並んで質的評価も行ったが,先学期と変えたのは,その質的評価を学生同士による相互評価としたことである。これは,Moodleというシステムにデフォルトで実装されているWorkshopという機能を利用した。各自の提出課題に対して自動的にランダムに他の受講者10名が割り当てられ,その10名が提出課題を評価するのである。その10名がつけた評価結果の平均値がその提出課題の評価となった。また,Workshop機能では,その評価に対する評価も出るようになっていて,それも成績評価に反映させることとした(これを「相互評価貢献点」と呼ぶことにした)。この相互評価方式は,非常に学生から評判が悪かった。その最大の理由は,他の受講者の評価に納得がいかないということらしい。私としては,個々の評価については信頼性が乏しくとも,10名分を平均するとかなり信頼性が高くなる気がしたのだが,学生には理解してもらえなかった。この方式をそのまま続けることは難しいと思う。
- 結局今回は,以下のような配点で成績評価を行った。
授業内外のコメントの数 20%
授業内外のコメントの質 20%
課題の提出数 20%
課題の質(相互評価) 30%
相互評価貢献点 10%
ボーナス点 10%(上限)
成績評価の方法について,先学期はめずらしくあまり学生からの不満は発生しなかったのだが,今学期はまたかなり大きな不満が発生してしまった。それに加えて,最近はツイートの質が下がってきたように思う。おそらく,SNSが学生に浸透して,普段使っているやり方のままでツイートする学生が増えてきたからだと思われる。他方,授業SNSはじっくりと講義を聴きたい学生の邪魔をする側面は否定できない。次年度は授業SNSを使わない授業に戻って,あるべき授業の姿を考え直してみたいと思う。
所見票
今学期も,受講者が少ない「科学技術と現代社会」を除いて,「技術の社会史」各クラスの所見票を書いた。技術の社会史(各クラス)所見票
終わりに
来学期は,これまで試してきた授業SNSと読書会という方式をやめて,従来のオードドックスな講義に戻りたいと思う。ただ,授業時間外にも授業サイトで学習を進めて欲しいので,オンラインで受講できる小テストを導入するつもりだ(これもMoodleのQuiz機能で実現可能である)。
【天気】晴れ。猛烈な寒波で,かなりの雪が降ったところもあるようだ。