昨晩のモーションダイ部のUstで,デジタルステージのプログラマーだった三浦さんが設立した新会社TECHLIFEの紹介があった。全く予想外の話で非常に驚いたが,昨年から様々な実験を続けていたデジタルステージのもう一つの新たな実験と捉えることができるだろう。
問題は,デジタルステージが開発・販売していたmotion diveというVJソフトの開発方法にあったようだ。VJというのはDJのビジュアル版で,音楽のみならず映像もコントロールするものである。一般消費者向けのソフトを開発・販売するデジタルステージとしては,VJソフトが商売になるとは考えにくいということで,とりあえず「部活」という形(つまり採算度外視)で検討が続けられた(この検討は,Ustを用いてユーザーをも巻き込んで行われた。motion diveのソフトは部活ジャージのおまけとして販売された)。その後,このVJソフトの開発をどうするかということが検討され,デジタルステージ(平野さん)としてはやはりこのVJソフトの開発・販売を商業ベースで進められるとは判断されなかったようである。しかし,その開発を担っていたプログラマーの三浦さんはmotion diveの開発を続けたかったようであり,ここで好きな仕事を中断してしまうのは自らのモチベーションを維持する上でも問題があったであろう。また三浦さんのせっかくの才能を眠らせてしまうことにもなる。かといって,採算度外視でmotion diveの開発を進めることも,社員とその家族の生活をあずかる社長としてはできなかったのだろう。平野さんも,できればmotion diveの事業を続けたいということでは三浦さんと同じ気持ちであり,社長として悩みは私の想像を絶するものがあったのだろう。そこで考えついた解が,TECHLIFEの設立であった。これにより,motion dive開発のリスク(のかなりの部分)は,デジタルステージからTECHLIFEに移行する。デジタルステージが発売しているソフトの重要な部分は三浦さんが担ってきたので,今後もTECHLIFEはデジタルステージの裏方を努め続けるだろう。それにより会社存続の基盤を獲得するとともに,新たな技術分野への進出を自らの責任で行うことができる。一般消費社向けソフトを販売するデジタルステージとは異なる取引先を開拓し,motion diveの背景にある基礎技術は様々な分野で活かされていくことだろう。三浦さんがデジタルステージの一社員であったら不可能であった大きな可能性が開けてくるのである。
以上は,昨夜のUstを観た一視聴者である私の勝手な想像である(したがって,事実と異なるところがあるかもしれない)。1000人以上いた他の視聴者もそれぞれいろいろなことを考えながら観ていたに違いない。特に,組織に属して仕事をしている人,組織のトップとして仕事をしている人は,それぞれの思いでこの新たな実験の始まりを見つめていただろう。
デジタルステージという会社は,社長平野さんの著書『旅する会社』を読めば分かるとおり,かなりユニークな会社だが,また新たな段階に突入した。デジタルステージと平野さん,そしてTECHLIFEと三浦さんからは目が離せない。
【天気】曇り。センター試験一日目。