牧口常三郎の文型応用主義

アトウェルのワークショップ形式をさらにパワーアップする方法のヒントがここにあった。

それは,牧口常三郎の文型応用主義だ。国語教育の専門家は良く知っているのだろうが,私は今回初めて知った。アトウェルのジャンル学習の重要性を強調している岩井輝久さんの『読み書き教育における類推的学習:牧口常三郎とナンシー・アトウェルから学ぶ』第2版(Kindle版,なお第1版はPDFで公開されている)に,牧口の文型応用主義が紹介されていた。

そこに引用されていた文章が載っている『牧口常三郎全集 第7巻 初期教育学論集』を手に入れ,関連する論文を読んでみた。今から100年くらい前に書かれたものだ。そこで提唱されている作文指導の4ステップは以下の通り。

  1. モデルとなる文章を読み,型を見出す。
  2. その型を応用して,教員が別の文書を書き,モデルとの比較により,型を明確に理解する。
  3. その型を応用して,教員と生徒が文章を合作する。
  4. 生徒が自力で型を応用して文章を書く。

ここには,責任の移行モデルそのものが見て取れる。私の授業では,1と4のみを行っていて,2と3を飛ばしていた。その途中をどうつなぐかイメージできていなかったためだが,やっと牧口から示唆を得て,より好ましい授業展開ができそうな気がしている。