3/15,お茶の水女子大学の公開全学FD/SD会2018に参加した。この会に参加するのは昨年に引き続き2年目。今年のタイトルは,「教学IR : 内部質保証の体系的駆動 ー 授業アンケート分析 / 成績不振チェック & ケア / GPA 分析 / 学修行動比較調査」。プログラムは次の4つ。
- 授業アンケートシステム nigala の分析による発見
- 成績不振の状況にある学生に対する学修指導の効果検証
- 複数プログラム選択履修とその GPA 分析でみえてきたこと
- 学修行動比較調査 ALCS2017 梗概と短報 教学比較 IR が確認した本学学生の凡庸さと非凡性
2は学務課の職員の方が発表したが,残り3つは教学IR・教育開発・学修支援センター教授が発表。
1のnigalaの発表は昨年聴いた話とかなり重なるが,新しい話としては,成績評価の付け方と授業アンケートの評価にある種の相関があった,ということが報告された。どのような相関かというと,S,Aなど良い成績が多い授業ほど,その授業に対する評価も高いということ。アンケートは成績発表の前に行われるので,良い成績をもらったからアンケートで良い評価を付けたということではない。私の経験から言うと,少人数のクラスでやる気のある学生が集まった場合,みなしっかり学び,成績もアンケート結果も良くなるということは十分あり得ることだと思った。
2の発表の結論は,成績不振学生に学修指導をしても,はっきりとした効果は分からなかったというもの。今回の報告では,効果を成績改善(累積GPAの上昇)で捉えようとしていたので,もっと別の指標を使うと何らかの効果が分かるのではないかと思う。成績不振者が放っておかれることで生じるマイナス効果を何らかの指標で捉えた上で効果を調べたらどうだろうか。
3はお茶大に特徴的な履修制度の複数プログラム選択制と成績の関係を調べたもの。主プログラムと強化プログラム(主プログラムの発展)を選択した者は成績がよく,主プログラムと違う専門分野のプログラム(副専攻のようなもの)を選んだ者は成績が下がるという。これはある意味で当然のこと。幅広く学んだことの成果を科目の成績以外の指標で捉える必要があるだろう。
4は昨年聴いたALCSの話の続き。2017年調査が3年目となる。参加大学は年々増え,2017年は12大学が参加。今年の調査で,お茶大は独自の調査項目としてGRIT(やり抜く力)に関する設問を設け,GPAとの関係を調べたという。その結果は,GPAが高いほどGRITも高いとのこと。講演タイトルには「本学学生の凡庸さと非凡性」とあったが,この話はなかったように思う(昨年はあった)。
ALCSは,オプションなしなら無料で参加でき,参加大学側の実施の手間もほとんどないとのことなので,本学も参加すればいいと思う。本学では,同じようなアンケートを卒業時に実施しているが,ALCSは他大学との比較ができるところにメリットがある。本学の特徴,強みと弱みを把握することができるだろう。また,同一学生に2度(1年次と3年次に)アンケートを実施できるので,同一学生の成長の度合いを知ることもできる。
IRのデータ分析により,いろいろなことが分かってきているが,今後は,その結果を大学教育の改善にどのように活かしたかという報告も聞いてみたい。
参考:教学IR:内部質保証の漸進(2017.3.14)
【天気】晴れ。このところ昼間の気温が高い。朝晩の温度差が大きく,鼻風邪を引いてしまった。