安全保障と学術に関する検討委員会 中間とりまとめ

1/23に日本学術会議・安全保障と学術に関する検討委員会「審議経過の中間とりまとめ」が発表された。2/4の学術フォーラムの中継も見た上での感想を記しておく。

この検討委員会の報告のポイントは,「日本学術会議において,安全保障と学術との関係について検討する際の焦点は,軍事的安全保障研究の拡大・浸透が,学術の健全な発展に及ぼす影響である」という部分であると思う。結論を一言で言えば,軍事研究が大学等に浸透していくと,学術の健全な発展に悪影響を及ぼす恐れがあるということである。

それを踏まえるならば,2015年度から始まった安全保障技術研究推進制度に応募することに対しては消極的な姿勢をとることになるだろう(中間とりまとめでは,その点については明記されていない)。

杉田委員長は,フォーラム後のインタビューで,1950年声明(戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明)を憲法9条と対比させていた。それについての多様な解釈は許しつつ,しかし一定の歯止めとしてそれを堅持するという態度である。

学術会議がその姿勢をとるとすると,ある大学はそれを根拠に,防衛省の資金は拒否することとなるだろうが,別の大学では,自衛隊の装備は憲法が容認する自衛権の行使のためのものだから,戦争を目的とするわけではなく,防衛省からの資金を受け取ることは問題ないということになるだろう。大学は,「戦争を目的とする科学の研究は行わない」ということを自分なりに解釈する必要が出てくるのだ。

これはいいことである。自分で考えることなく学術会議が出した判断にただ従うというのが一番よくない。