授業中のパソコン使用

 ある科目の最後の授業で書いてもらった学生のコメントに次のようなものがあった。――近くの受講者がパソコンを使っていて,タイプの音がうるさくて集中できなかった。パソコンを使っている学生にはゲームをしているか,他の授業のレポートを書いている者も多い。迷惑なので授業中のパソコン使用を禁止してほしい,と。

 私は今学期から授業資料をプリントで配布するのをやめ,授業サイトでPDFファイルの形で配布することにした。それを自分でプリントアウトして持ってきてもよいし,授業にパソコンを持ってきて,それで見てもよいと言ってある。表示するだけなら音はしないし,パソコンでノートをとるような場合は少しは音がするだろうが,それも許容範囲のことだと考えていた。

 ゲームをするときにはキーを叩く音がうるさいかもしれないが,だからといってパソコン使用を禁止にするというのもおかしい。そもそも授業中にゲームをすること自体が問題だし,それで迷惑を感じているなら,自分でやめるように言えばいいことだろう。それができないなら,もっと早く問題の学生に注意するよう私に言ってくれればよかった。多くの学生がパソコンを使っていない中でパソコンを使う学生には,周囲の学生に対してできるだけ音をださないよう配慮することが求められる。そうしたことをきちんと指導できなかったのは残念だが,今後はそうした指導もしていきたい。飲食店での禁煙席と喫煙席の分離のように,パソコン席を設けてもいいかもしれない。だが,私は受講者全員が授業中にパソコンを使うようになれば,タイプの音もそれほど気にならないのではないかと考えている。授業中に受講ブログを書いてもらうような授業をしてみて感想を聞いてみたい。

 アメリカの大学で授業中にパソコンを使わせることの是非について議論がなされているとの『ニューズウィーク』の記事(2010.7.12)がある。授業中にパソコンを使わせると,気晴らしをしたり,自分で考えなくなるという意見もあるらしい。私の授業でゲームをしていた学生はまさにその例だろう。だが,それはパソコンを使わせたことが問題なのだろうか。確かに,パソコンは,気晴らしをしているのかノートを取っているのか,教員の側からは分かりにくいため,退屈している学生にとっては強い誘惑の元となるだろう。しかし,パソコンがなくても,他のもので気晴らしをすることは容易だ。ケータイ・ゲーム機・iPodなど,小型の気晴らし装置はいくらでも手の届くところにある。そのような中で,従来型の講義,つまり長時間,一方的に教員の話を聞かせるということ自体にかなり無理があるように感じている。パソコンなどの様々な機器を積極的に授業で使わせることでしかこうした状況は改善できないように思っている。

  • 17:58  ブログ更新「新しい授業の進め方」。従来の講義形式の大学の授業を現在利用可能な技術を用いていかに変えることができるか。できるだけ実現可能な方法を考えてみました。http://bit.ly/fEKh8d