新しい授業の進め方

 この二日間,ネットを活用した新しい授業の進め方を考えていた。一応,一つのやり方のアイデアがかたまってきたので,ここにメモしておく。

 これまでの私の一般的な授業の進め方は以下のようなものであった。

 1. 前回小レポート紹介
 2. レクチャー(1)
 3. ビデオ(1)視聴
 4. レクチャー(2)
 5. ビデオ(2)視聴
 6. レクチャー(3)
 7. 小レポート執筆 →次回冒頭で紹介

 この進め方の問題点は,全てのことを一回90分の授業の中に詰め込むため,それぞれの項目に十分な時間がとれないこと,および前回執筆した小レポートの紹介が1週間後(休みが入るとそれ以上あと)に紹介することになるので,前回の記憶が薄くなってしまうことだ。これまで授業で行っていたことの一部を授業外でやるようにできれば,その点が改善されると考えた。さらに,学生から教員への情報伝達手段を紙からネットに変えることにより,様々なメリットが生じると考えられる。

 新しい授業の進め方は以下のようになる。

(自習)
 1. レクチャービデオ(1)視聴
 2. 小レポート(1)執筆
 3. レクチャービデオ(2)視聴
 4. 小レポート(2)執筆
 5. レクチャービデオ(3)視聴
 6. 小レポート(3)執筆

(授業)
 7. 前回小レポート(4)紹介/前回復習
 8. レクチャー(1)ダイジェスト
 9. 小レポート(1)紹介
 10. レクチャー(2)ダイジェスト
 11. 小レポート(2)紹介
 12. レクチャー(3)ダイジェスト
 13. 小レポート(3)紹介
 14a. ビデオ視聴→小レポート執筆
 14b. ディスカッション(小レポート執筆→紹介→討論)

 小レポートの課題は,それぞれのレクチャービデオを観た上で,(a)特に印象に残っていること,(b)頭に浮かんだ疑問,(c)さらに知りたいと思ったこと,(d)その他の感想,の4つを書いてもらう。

 これまで授業でやっていた情報提供のレクチャーを授業外に追い出すことによりできた時間を,質疑応答やディスカッションに回そうという考え方をとった。ただ,テレビ番組などのビデオは著作権の関係からネットに掲載して各自視聴するという方法はとれないので,従来通り授業で見せることになる。

 さて,こうした授業を可能にするシステムをどのように構築するかだが,今のところ下記のようなもので実現できないかと考えている。

 ・授業サイト
  ・自習用レクチャービデオ
    パワーポイントにナレーションをいれてビデオ化
    STORM Makerなどで作成
  ・自習用テキスト
    ウェブページ,PDF,FLIPPER3 Makerなどによる電子ブック
 ・受講ブログ
   WordPress+P2で作成
   Twitterに似たインターフェイスのブログ
   学生はこれで小レポートの執筆・提出を行うとともに,
    教員や他の受講者とコミュニケーションをとる。
    時系列で記録されたログは,各自の学習記録として成績評価にも用いられる。

 授業サイトと受講ブログは相互にリンクを張ることにより,一つの学習管理システム(LMS)として機能することになる。

 最後まで悩んだ点は,各自が自習時間に書いた小レポートの表示のタイミングをコントロールすることだ。普通に上記のブログに書くと,書いた時点で表示されてしまうため,後から書く人に真似される可能性がある。要領の良い学生は,自習をせずに他人の書き込みを見ながら適当に自分の小レポートを書き上げてしまうだろう。それを防ぐには,ある時点までは投稿された小レポートを公開せず,ある時点で一斉に公開する必要がある。このような使い方は,ブログではなくC-LearningやMoodleなどの既存のLMSには必ず備わっている機能だが,それらとブログの併用は非常に煩雑となるため避けたかった。既存のLMSに使いやすいブログシステムが搭載されていればそれ一つで済むのだが,今のところそのようなシステムはないようだ。そもそも,LMSは基本的にクローズドなシステムなので,オープンなブログとは根本的に異質なものだ。最終的には,ブログのコメント機能を使うことで何とか私がやりたいことができそうだと思い至った。ブログの投稿の表示も,管理者によるコントロールは可能だが,そうすると全ての投稿を私がコントロールしなければならず,それは私が大変だし,また自由に書き込みができるブログの良さがなくなってしまう。そこで,小レポートの投稿はコメントの形で行うことにし,コメントのみ私がコントロールすることにすれば,小レポートの表示のタイミングをコントロールしつつ,それ以外の書き込みは自由に行うことができる。

 P2で構築したブログは,通常のブログのように管理者画面にログインして記事を書く必要がなく,Twitterと同じように表示画面に入力欄があり,手軽に投稿ができる。タイトルを付ける必要もない。また,付けたい場合は付けることができる。授業中も学生はパソコンで受講ブログを読んだり書いたりすることができる。教員はそれをスクリーンに映して,コメントをしたり,質問に答えたりすることができる。即座に簡単なアンケートをとることもできるだろう。使い方は工夫次第でいくらでも広がりそうだ。

 なお,この受講ブログは公開のタイミングをコントロールすることはあっても,公開の原則で運用する。受講者は自分の学習の成果をクラスメイトのみならず世界中に公開することになるので,そのつもりで投稿する必要がある。プライバシーと個人情報保護の観点から,氏名や学籍番号などは公開しないが,ニックネームとアバターで個人を特定できるようにする。特にアバターの表示は視覚的に記憶に残るので重要だ。

 FacebookにあるようなLike(いいね!)ボタンも設置し,良い書き込みをみんなで高く評価するシステムを導入する。これは成績評価にも反映させる。

 成績評価は,先にも述べたように受講ブログに残されたログをもとに行う。投稿やコメントの数は簡単に数えられるので,そうした量的指標を成績評価に反映させることができる。また,受講者同士の評価の結果であるLikeの数は質的評価の一端を担うことができるだろう。各受講者のログを一覧すれば,どのような勉強を行った結果,最終的にどのような状態になったかが分かると思われる。そうした質的評価を先の量的指標と総合して最終的な成績評価とすることができるのではないだろうか。

 こうした授業を進めるには,まず各回の自習用教材をつくることが大きなハードルとなるだろう。まずは,これまで授業で使ってきたパワーポイントなどを活用してできるだけ負担を軽減した上で,少しずつ数を増やし,質を改善していくことになる。授業に関連した面白いクイズのようなものが考えられれば,自習用教材として追加していきたいとも思う(THiNQ Makerで作成可能)。

 私が考えた上記の授業方法は,いわゆるブレンディド・ラーニングの一種ということになるだろうが,一般的な講義科目で広く採用できるのではないだろうか。

【天気】曇り。寒くなった。