安全保障と学術の関係:日本学術会議の立場

本日2/4(土)13:00-17:00,日本学術会議講堂で,学術フォーラム「安全保障と学術の関係:日本学術会議の立場」が開催される(追記:IWJ録画ページはこちら。ハイライトのみ無料。非会員でも300円で全編視聴可)。これは,学術会議の「安全保障と学術に関する検討委員会」の中間とりまとめを公表し,学術会議内外の人々と意見交換を行うためのシンポジウムである。

このフォーラムは定員250名で,参加希望者はウェブ登録が必要だったが,私が登録しようとアクセスしたときには,すでに定員に達して受付は終了していた。それだけ人々の関心が高かったということだ。幸い,IWJチャンネルCH5がUstream中継をしてくれるとのことなので,それを視聴したいと思っている。

学術会議の検討委員会は,昨年6月から今年1月まで計8回の会合を開いて,議論を進めてきた。その議事録や資料は学術会議のウェブサイトに公開されている。今日のフォーラムで報告される中間とりまとめもある。

検討委員会の議論における最大の争点は,学術会議として自衛のための軍事研究を認めるかどうかということだ。この点で,委員の間でははっきり意見が別れている。おそらく,これは国民の間でも意見が分かれる点であり,今日のフォーラムの質疑応答でもそこが問題になるのではないか。

学術会議関係者の多くは,自衛のための軍事力をどうするかといった政治的な問題には関わりたくないと考えており,その問題を棚上げにした上で,何とか学術会議としての立場を示そうとしているようである。しかし,学術会議の大西会長(検討委員会の委員でもある)は,その問題は避けて通れないと主張している。この点は私も同感だ。

学者らしく冷静な議論がなされることを期待している。

2/4追記

フォーラムのUst中継を見た。後半のフロアからの質疑応答が興味深かった。私は,自衛のための軍事研究が必要だという主張がもっと出てくるかと予想していたが,ほとんど出なかった。議論を深めるためには,工学系研究者や企業研究者の意見がもっとあったほうがよかったと思う。

全体的には,検討委員会の中間とりまとめを支持する意見が多かった。おそらく,最終報告も同じようなものになるだろう。中間とりまとめは,大学での軍事研究の是非について明確には書いていない。各研究機関での判断に委ねているため,今後は大学での議論が求められるだろう。

なお,Ust中継では,フォーラム後の大西会長と杉田委員長の記者インタビューも中継されていた。

2/14追記

学術会議のウェブサイトに,フォーラムの資料(配付資料およびスライド)が掲載されていた。