- NHKスペシャル「見過ごされた被爆 〜残留放射線 63年後の真実〜」2008.8.6, NHK総合, 50分
ABCC(原爆傷害調査委員会)の活動の一部が紹介されていたが,ABCCは何のために研究をしていたのか,それと残留放射線の影響が軽視されたこととどのような関係にあるのか,などよくわからないことが多い。
原爆投下から63年。原爆の放射線による原爆症の認定基準が今年、大きく変わった。
見直しの特徴は、原爆投下後市内に入った「入市被爆者」と呼ばれる人達に対して、原爆症と認定する道を開いたことだ。これまで国は初期放射線の被害は認めてきた一方、放射線を帯びた土などが出す「残留放射線」の影響はほとんどないとして、11万人いた入市被爆者の原爆症認定の申請は、ほぼ却下してきた。
被爆後、広島や長崎市内に入った入市被爆者は、直接被爆していないにもかかわらず、放射線の影響とみられる急性症状が現れ、その後、白血病やガンなどで亡くなった。当時、いたる所で放射性物質と化した土砂や建物、死体から強い残留放射線が発生したことなどにより、相当量の被ばくをしていたとみられる。
昨年、発見された資料では、アメリカは1950年代に残留放射線の調査を始めながら「科学的に役立たない」と中止していたことがわかった。その後も調査は行われぬまま、入市被爆者は病気になっても国から「原爆症」と認められず、援護のカヤの外に置かれてきた。科学研究が進み、裁判で入市被爆者が原爆症と認められるようになり、ようやく見直された認定基準。
なぜ被害は63年間も見過ごされてきたのか?被爆者たちの人生を振り返り、原爆のもう一つの悲劇を伝える。