駒場で「村上陽一郎先生退任記念シンポジウム」に参加。村上先生がICUをお辞めになるのに合わせ,教え子たちが企画したもの。北は北海道,南は九州から(さらにはドイツからも?)教え子その他関係者が集まった。ふつうは,先生の多大なる功績を讃えるというような催しになるのだろうが,このシンポは教え子たちが(あえて)歯に衣着せず,容赦なく批判をし,それに先生が応答するというもの。学問共同体の一つの理想を見たような気がした。
シンポは3つのセッションに分かれており,一番目は聖俗革命論,二番目は科学哲学,医療・環境論,三番目は科学史論だった。一番目と三番目は重なりがあり,もう少し整理して,三番目の科学史論をもう少し未来志向にして,今後の日本の科学史学のあるべき姿を論じるようなものにしてもよかったと思う(企画者たちの意図もその辺にあったのだろうから)。
総合討論でのNさんのコメントに少し出ていたが,村上先生の「総合性」にもっと光を当ててもよかったと思う。それを,先生の他人にまねのできない「芸」として祭り上げてしまうのは良くないと私は思う。先生と同じ役割を一人で引き継ぐことのできる人は今後出てくる可能性は少なく,確かに先生は「一代親方」といっていいだろう。しかし,先生の「芸」を他人にまねのできる「技術」に変換して継承していくことが後進の科学史家に求められているのだと私は思う。
そのあとのパーティーは,同窓会のようであった。懐かしかった。
【天気】晴れ。ウグイスが鳴き出した。