授業実態

 立命館大学経営学部で、単位認定に必要な授業時間数を満たしていないという授業実態が明らかになり、そのための謝罪と対応が公表されている。
 ある2単位の講義科目で、授業が1〜5回しか行われず、レポート課題もふさわしくないものだったということで、そのような実態が9年間も放置されていたという。
 2単位の講義科目の場合、半期完結なら2時間の講義が15回なければならない。日本の慣例で2時間を90分に短縮し、15回を13回程度に減らして行う実態は許容範囲とされている。しかし、5回とか1回というのは許されるはずもない。
 なぜこのようなことが放置されてきたのかといえば、おそらく、大学教員が単位認定の条件を知らなかったこと(これは学則や大学設置基準に書いてあるはず)、およびそのような問題のある授業をチェックする体制が学部や大学になかったことであろう。だから、今回の再発防止策ではそうした体制づくりが盛り込まれている。また、大学教育改革に意欲的な立命館の新しい学習形態「インディペンデント・スタディ」を誤解していたということもあったのではないか。これは、単に学生に自習をさせれば良いというものではないはずだ。授業時間には適切なフィードバックをかけなければ学習効果は上がらない。単なる自習は教員の手抜き以外のなにものでもない。
 今回、どのようにしてこのことが発覚したのかは分からないが、学生からのクレームというのも一つの可能性だろう。学生やその保護者からのクレームに対してきちんとした説明、対応ができるように大学教育は行われなければならない。それが果たされないとき、大学は社会的信用を失う。
 問題の科目で単位を取った在学生は、もう一度別の科目を受講して補習を受けなければならない。学生の不満は相当なものになるだろう。
 この問題は決してひとごとではない。大学の授業を担当者任せにする時代、隠すことで自分を守る時代は過ぎ去りつつある。教員は学生・保護者・同僚教員・大学経営者・社会に対して説明責任を果たさなければならない。その中で特に重要なのが教員集団による相互チェックだ。

追記
 新聞報道(asahi.com, 4/9)によると、シラバスで「原則として授業は行わない」と説明していたのを文部科学省が見つけて、見直しを指導したとのこと。学生からのクレームによるものではなかった。また、大学側は「学生が自主的に学ぶ時間や個別指導の時間を講義時間に換算して単位を出していた」という。

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