写真家・石内都 「ひろしま」との対話

  • 新日曜美術館「シリーズ・創作の現場ドキュメント(1) 写真家・石内都 「ひろしま」との対話」2008.7.27, NHK教育, 45分

石内都さん(写真家)
鷲田清一さん(哲学者・大阪大学総長)

 

 写真家・石内都。1979年、女性初の木村伊兵衛賞受賞、2005年にはヴェネツィア・ビエンナーレ日本代表となるなど、日本の写真界の一線を走り続けてきた女性写真家だ。

 昨年、石内は新たな撮影に挑んだ。テーマは「広島」。広島平和記念資料館に保管されてきた、原爆で亡くなった人の遺品など、「被爆資料」にカメラを向けたのだ。

 焼けこげたワンピース、引きちぎられた上着・・。どの品物にも空前の惨劇の傷跡が残る。石内は、一点一点に語りかけるようにシャッターを切りながら、原爆で断ち切られた人々の「その瞬間」以前に思いをはせ、そこに刻まれた生命の痕跡を鮮やかに蘇らせていく。

 確かに人生を謳歌し、生きていた遺品のあるじたち。石内の写真の中で、被爆資料たちは、自らの刻印された人生を、愛を、静かに語り始める。

 戦後63年、戦争の記憶の風化が叫ばれる今、原爆の記憶をどう継承していくのかが大きな課題である。

 これは、一人の写真家の一年半に渡る「広島」との対話の記録である。
 

関連展覧会

  • 「石内都展 ひろしま Strings of Time」広島市現代美術館,6月28日(土)~8月10日(日)
  • 「石内都展 ひろしま/ ヨコスカ」目黒区美術館,11月15日(土)~1月11日(日)

 

出典:http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2008/0727/index.html