第二次世界大戦における英米の独原爆察知問題

山崎正勝「第二次世界大戦期における英米の独原爆察知問題」『東京工業大学人文論叢』第12号(1986): 171-178. (1987.2.10発行)

     2008.8.11読了。山崎他編著『原爆はこうして開発された』(1990, 1997)の第6章「ドイツの原爆開発と投下目標」の元となった論文。1970年代後半から公開され始めたマンハッタン計画関係資料をもとに,英米がドイツの原爆開発について否定的な見解を持つようになった時期の確定を行っている。結論から言えば,それは1944年1月である。

     ドイツの原爆に対抗するために始まったということなら,ドイツの敗北より1年以上前のこの時点で英米が原爆開発を急ぐ理由はなくなったはずだ。しかし,軍は科学者たちの熱意が冷めるのを恐れて,そのことを科学者たちに知らせなかった。

     科学諜報活動の重要性を認識させられた。