原発事故から3年以上が過ぎ,こうした情報が得にくくなっているのかと思ったため,情報提供のためにメモする。
ガイガーカウンターに関する最も網羅的な情報源は,おそらくこのサイトだろう。
ただ,情報が多すぎて,初心者には分かりにくい。この記事あたりから読み始めるとよいだろう。
さて,素人ではあるが,この3年余り,放射能測定と格闘してきた私個人の経験をまとめておく。
まず,放射能測定器を選ぶ際には目的を決めないといけない。素人が使えて,何とか購入可能な値段のものを選ぶと以下のような感じになる。
1.空間線量(地上1m, 50cm)
その場所の漠然とした放射線量を知るには,空間線量を地上1mあるいは50cmくらいで測定するとよい。そうしたデータはたくさんあるので,他の場所と比較もできる。そのためのお勧め測定器は,
・ECOTEST MKS-05 TERRA-N *一般的には4万円台だが,現在2万円台で購入可。
小型軽量で電池長持ち。持ち歩きに最適。数値も信頼できる(ただし,0.2μSv/h以下あたりでは少し高めに出る。これはすべてのGM管を使った測定器に共通)。表面汚染も測定可。日本語表示。このTERRAシリーズは黒い上位機種から黄色い下位機種までいろいろあり,予算に応じて買えばよい。現在,中間の緑がお買い得。
2.表面汚染
空間線量は,かなり遠くから来るガンマ線の合計値なので,ガイガーカウンター近傍の汚染はあまりよく分からない。目の前のこの場所の汚染を知りたいときは,ベータ線を測る必要がある。表面汚染の測定は,事故直後に必要(人や物の除染のため)。今はあまり必要ないが,今後に備える必要はある。そのためのお勧め測定器は,
・RADEX RD1008 *8-9万円台。
ベータ線を測るには良いが,大きいので普段の持ち歩きには向かない。TERRA-Nで対応可。
3.食品・土壌汚染
内部被曝を減らすには,食品放射能を測定することが不可欠。だが,そのための測定器は概して高い。何とか一般の人が買えて,しかもそれなりに意味のありそうなのが,
・Polimaster PM1406 *一般的には,38万円〜。現在30万円で購入可。
一定の値(例えば10Bq/kg)より少ないかどうかを判定。数値自体はあまり当てにならない。多少多めに出るように設計されている。政府基準の100Bq/kgなら比較的短い時間(数十分)で判定できるが,10Bq/kgだと10時間くらいかかる。スペクトルも見ることができるので,セシウムのピークがあるかどうかで,だいたい様子が分かる。土など測ると,今でも明らかにセシウムのピークが現れる。
ということで,これから買う人が取り敢えず持っておいていいのは,TERRA-Nだと思う(もちろん,他にも良いものはあり,様々な条件で最適機種が決まると思う)。今後原発事故が起こったときにかならず役に立つはずだ。
震災の年の夏に最初のガイガーカウンターを買ったが,ガイガーカウンターを持っていて良いことは,程度の感覚が養われること。五感で捉えられる危険について,私たちはそれなりの感覚を持っている。しかし,五感で一切捉えられない放射能は,測定器を持つことでしか感覚が養えない。ガイガーカウンターの意義はそこにある。
【天気】雨のち曇り。