授業が終わった時点で授業の反省をする。成績評価や授業評価が終わった段階でさらに反省を加える予定。
全体的に
今学期も,先学期からの新しい試みを継続するとともに,さらに新しい試みを加えた。そのため,非常に負荷が多く,余裕を持って授業に望むことはできなかったが,今学期新たに始めたことには確かな手応えを感じることができた。
共同受講ブログ
今学期の新しい試みの目玉は,「科学の社会史」(2クラス)における共同受講ブログ(3限クラス,7限クラス)の導入だ(その趣旨はこちら(pdf))。これは,Twitterとブログを合わせたようなシステムで,受講者は授業中および授業外に書き込みができる。特に,授業中の書き込みはTwitter的に利用することができ,受講者間および受講者と教員の間でのリアルタイムの意見交換や質疑応答などが可能となった。この共同受講ブログに関する学生の評価は非常に高かった。授業中の私語はほとんどなくなり,多くの学生が集中して授業を受けていたように思われる。初めての試みであり,システム的な問題が当初は多発したが,学期半ばには安定して運用できるようになった。学内のネット環境が改善されれば,さらに快適に利用することができるであろう。
授業自体は従来型の一方的な講義であったが,このシステムを生かすなら,時々教員と受講者の間の交流の時間を設けてもよかったと思う。最終回のまとめの時にはそうした時間を設けたが,なかなか良かった。
授業資料の公開
先学期から始めていることだが,授業関係資料は授業サイトでできるだけ公開した。具体的には,授業の概要,講義メモ,授業ラジオ(講義の録音),参考文献・参考リンクなどだ。講義メモと授業ラジオがあれば,授業を欠席した学生でも自習でかなりの部分はカバーできただろう。受講者が書いたものは,共同受講ブログのみ公開した。C-Learningという別のシステムを利用した授業(科学技術と倫理,科学技術コミュニケーション,フレッシュマンセミナー)では,学生が書いたものは非公開となった(ただし,授業中に読み上げて紹介したものは,授業ラジオの中で公開された)。
C-Learning
先学期に引き続き,C-Learningを導入した。今学期は,先学期にも導入した「科学技術コミュニケーション」に加えて,「フレッシュマンセミナー」1クラスと「科学技術と倫理」2クラスの合計4クラスで導入した。核兵器の歴史を扱った「科学技術と倫理」では,掲示板を用いて意見を出し合い,コメントを付け合うようにさせた。また,「フレッシュマンセミナー」では,オンラインで解答と自動採点が行える小テスト機能を使ってみた。また,「フレッシュマンセミナー」と「科学技術コミュニケーション」では,レポート提出にこのシステムを利用した。
今学期の授業では,授業サイトと共同受講ブログ,または授業サイトとC-Learningという異なるシステムを組み合わせて利用した。現在のところ,一つのシステムで私が望むようなことが実現できないので仕方がないのだが,今はそれら異なるシステムの間の連携がうまくとれていないので,何とか全体として一つのシステムとして使えるように工夫したい。
講義内容について
今学期の講義内容で特徴的なことは,3月に発生した福島原発事故を急遽いくつかの授業で取り上げたことだ。それらは以下の通り。
- 科学技術コミュニケーション 第8回(6/3),第9回(6/10) リスク・コミュニケーションをめぐって
- 科学技術と倫理 第12回(6/27, 8/1) 日本における原発導入をめぐって
- 技術者倫理 第12回(7/6) 事故調査のあり方をめぐって
評価方法
今学期の評価方法の大きな変更は,共同受講ブログを導入した「科学の社会史」においてレポートや試験を課さず,共同受講ブログにおける書き込みのみを評価の対象としたこと,また「科学技術と倫理」においてもC-Learningの掲示板における書き込みのみを評価の対象としたことだ。実際に評価を行ってみて,改良すべき点を探っていきたい。
【天気】晴れ。