倫理問題としての原発

 欧州放射線リスク委員会ECRRの2010年勧告がネット公開されるとともに,その邦訳も美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会によってネット公開された。このECRR2010は私が前から見たいと思っていた文書であった。ECRR勧告の存在は市民科学研究室のサイトで知ったのだが,その最新版である2010年勧告も出ていることを知り,入手したいと思っていた。

 この勧告文書を読んで驚いたのは,放射線リスクの問題が倫理問題としても検討されていることである(第4章)。福島の事故を受けて原発政策の見直しを行ったドイツの委員会も「倫理委員会(Ethikkommission)」と呼ばれている(ドイツ連邦首相府サイト)。このことはHさんのブログで知った。

 日本には環境倫理学者はそれなりにいるが,原発の倫理問題をきちんと議論していたとは聞いていない。5/5に行われた環境倫理学者の集会(Ust録画)でも,まずはその反省から始まっていた。まず私たちは,ECRR2010をテキストとして学び,今後の日本の原子力政策を考えていかなければならないだろう。

 さて,本日夜,NHKBS1で「ハーバードからのメッセージ 世界は震災から何を学べるか」という番組を放送するようだ。サンデル教授も登場するらしい。果たして原発の倫理問題に言及されるかどうか。

参考:ドイツ・安全なエネルギー供給のための倫理委員会(Hidy der Grosse, 2011/4/17)

【天気】晴れ。

  • 09:54  5/12のBSフジ プライムニュース(吉岡斉氏出演)のハイライトムービーがネットで公開されています(期間限定)。テーマは日本の原子力政策の歴史 http://bit.ly/mkgGvt
  • 13:18  ブログ更新「倫理問題としての原発」ECRR2010の第4章は必読です! http://bit.ly/jKUlXB