低線量被曝

 3/29に次のようなツイートをした。

本日3/29付東京新聞の「こちら特報部」欄は,これまでマスコミが示してきた放射線の健康影響スケールに深刻な疑問を抱かせる専門家の意見を紹介している。同欄以外のページは,同欄の紹介が正しいとすれば,被曝影響を過小評価する内容となっているのだが。同紙はこの矛盾を解消するのだろうか。

 それ以来,同紙の低線量被曝の健康影響についての記述に注目してきた。

 東京新聞は今日に至るまで,放射線量の人体への影響を説明する図において100mSvのところに「がんで死亡する確率が上昇」などと書いている。つまり一度に100mSv被曝してはじめてがんで死亡する確率が上昇するというのだ。そこに,従来の同紙の説明を否定する説,すなわち100mSv以下の低線量でも発ガンリスクが高まるという学者の説を3/29に大々的に紹介したのだが,今度は4/2付の紙面で「発ガンリスク 被爆者調査100ミリシーベルトが境」との大見出しを付けた専門家のインタビューを載せて,従来同紙が載せてきた図の正当化を図っている。

 ところが,4/13の紙面では,被曝総量20mSvを超えることが予想される地域が計画的避難区域に指定されることを報じ,その解説記事で「20ミリシーベルトで,がんによる死亡率が0.1%上がる」と書いている。別の面では相変わらず100mSvのところに「がんで死亡する確率が上昇」と書いているにも関わらずだ。そこに矛盾を感じないのだろうか。

 東京新聞を読んでいる読者は,低線量被曝の発がんリスクについて,訳が分からなくなっていると思う。現在の国際放射線防護委員会ICRPの見解によれば,どんなに低い線量でも発ガンリスクはあると見なしている。それは1Svあたり0.055(=5.5%)の発がん死亡リスク上昇ということで,20mSv=0.02Svだと,0.055×0.02=0.0011,つまり0.11%だけがんで死亡するリスクが上昇することになる。政府もこれを認めているからこそ,20mSvで線を引いて(つまり1000人に1人の割合での発がん死亡リスク上昇は受け入れ不可能として),計画的避難区域を設定することにしたのだ。こういった説明をきちんと紙面でしなければいけない。そうしないと読者は混乱するだけだ。

参考:リスクコミュニケーションの前提議論(津田敏秀・岡山大教授)

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  • 13:42  議員会館での後藤さんの講演終了。これまでのUstの総集編的内容。冷静な後藤さんも汚染水海洋放出については怒りを露わに。参加議員は意外に少なかった。 ( #cnic live at http://ustre.am/vwjb)