口蹄疫

 宮崎で口蹄疫が猛威を振っている。昨年は新型インフルエンザだったが,今年は口蹄疫。大体この頃の科学技術コミュニケーションの授業ではBSE(狂牛病)を扱うのだが,今年は同じ牛の病気なので学生の関心も高まるだろう。

 さて,口蹄疫は人間には感染しないとよく聞くのだが,専門家はどう言っているか気になったので,まずは食品安全委員会のサイトを見てみた。すると,4/20作成,4/28更新の文書「宮崎県における口蹄疫の発生について」(pdf)が掲載されていた。そこにはこう書いてある。

食品安全委員会としては、口蹄疫は、偶蹄類の家畜(牛、豚、山羊、緬羊、水牛など)や野生動物(ラクダやシカなど)が感染する病気であり、人が感染することはなく、仮に口蹄疫にかかった家畜の肉を食べたり牛乳を飲んだりしても人体に影響はありませんので、国民の皆様には、冷静に対応していただきますようお願いします。

 まず日本語が変だが,それはともかく,「人が感染することはな」いと書かれている。この文書に張ってある農水省のリンク先を見てみると,やはり同じことが書かれている。しかし,こうも書かれている。「現場での取材は、本病のまん延を引き起こすおそれもあることから、厳に慎むよう御協力をお願いします」。これはなぜか? 農水省のもう一つのリンク先を見てみると,こう書かれていた。「人が牛肉や豚肉を食べたり、牛乳を飲んだりしても口蹄疫にかかることはありませんが、感染している家畜の近くに行ったりすると、無意識のうちにウイルスを運んでしまうことがあるので、感染した家畜がいる農場に行くことは避けてください」。無意識のうちにウイルスを運んでしまうとは?

 謎が深まった。そこで,食品安全委員会の文書の最後のリンク先,動物衛生研究所のサイトを見てみた。そこには,山内一也東大名誉教授の「人獣共通感染症連続講座」の口蹄疫関係のページへのリンクがあった。そこで,それらのページを見てみたら,なんと!,口蹄疫は人にも感染することがあると書かれていた。ただ,人間は口蹄疫にはかかりにくく,もしかかっても軽症ですぐ直るので健康上の脅威にはならないということだ。子どもがかかる手足口病に似たものらしい。

 こうした情報から判断すると,先の「無意識のうちにウイルスを運んでしまう」ということの意味として,人間が感染し,人間が感染源となってしまうことも含まれると思われる。ただ,ウイルスは風でも運ばれるということなので(村上氏の総説),たとえ人に感染しなくても衣服や靴などに付いて運ばれるということも十分あるだろう。いずれにせよ,説明のための言葉が足りないと思う。

【天気】晴れ。夏のように暑い。研究室の気温はずっと29℃を超えている。