- 知ってるつもり? 20世紀伝説「人類 月への夢」日本テレビ,1999.12.19, 54分
フォン・ブラウンとゴダードを取り上げ,ゴダードの夢がフォン・ブラウンに受け継がれ,ロケットで人を月に送り届けるまでの歴史を描いている。フォン・ブラウンがナチス・ドイツでV2ロケットの開発に関わっていたこと,また米ソ冷戦の軍拡競争の中でアポロ計画が進められたことは触れられていた。
単なる兵器開発ではなく,月旅行という「人類の夢」と抱き合わせにすることにより,冷戦という軍事的危機状況の中でミサイル開発と宇宙開発の両方が実現できたのではないだろうか。スタジオゲストの間では,夢をもつことが大事だ,というような話がなされていたが,それを可能にした時代状況にもっと注目すべきだと思う。もし,米ソ核戦争が起こり,大陸間弾道ミサイルの撃ち合いが実現していたら,こうしたのんきな番組にはならなかっただろう。
参考:藤田康元「宇宙開発は『人類の夢』か?」(初出:『どよう便り』67号,2003.7)
エンディングクレジットの主要参考文献:
- 佐貫亦男『宇宙への野望 フォン・ブラウンその栄光と挫折』ダイヤモンド社,1978.7
- 木村繁『フォン・ブラウン』世界伝記文庫,国土社,1981.9
- 中富信夫『アメリカ宇宙開拓史』新潮文庫,1984.8
- アラン・シェパード/ディーク・ストレイン(菊谷匡祐訳)『ムーン・ショット——月をめざした男たち』集英社,1994.7