本日付の『週刊読書人』1面には、広田照幸氏と浅野智彦氏の対談が載っていた。日本図書センターから「リーディングス 日本の教育と社会」(第I期全10巻)の刊行が始まったのを機に行われたもの。その中で、広田氏がリーディングスの必要性について次のような話をしていた。
学生の様子を見ていて、リーディングスが必要だなという思いが強くしてきたわけです。ネット環境が整備されていく中で、インターネットでいろんな情報が拾えるようになってくると、学生はそれで片付けてしまって本を読まない。しかし、インターネットの情報には限界があるわけです。あるキーワードで系統的に情報を集めることはできるけれど、体系性がない。そのキーワードの外側にどういう世界が広がっているのか、その中でそのキーワードはどう位置づくのかといった見通しがきかない。それと段階性がないですね。手軽に入る情報から、高度な専門的知識で解読しないとわからないレベルの情報まで段階があるわけで、それをきちんと踏まえていくと理解できるようなことがインターネットに頼るかぎり習得できない。そういう意味で、ある問題についての知の広がりをきちんと示す必要があると思ったわけです。(強調は引用者)
これは多くの大学教員が痛感していることではないだろうか。体系的な学問を段階的にきちんと学ぶことのできる点で大学の意義は今後ますます高まるだろう。
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