GPA制度の研究(第六版)

 先に静岡大学の半田智久氏から「GPA制度の研究−functional GPAに向けての提言−」第六版(2006年)を送っていただいた。150頁もある報告書である。やっと読み終わった。

 その最も重要な指摘の一つは、GPAの新しい計算方法の提案であろう。Letter Grade(S,A,B,Cなど)からGrade Point(4,3,2,1など)を経由し、GPAを計算するのではなく、直接100点満点の素点からGPAを計算する方法である。具体的にはGP=(素点-55)/10でGPを計算し、そこからGPAを計算する。→参考:「GPA 算定の問題克服: 最適解を同定する」

 また、学生が常に自分のGPAを把握し、それにより自分の大学における成績上の位置を確認しつつ自己責任で履修登録や勉学を進めるようにする、そのためのツールとしてのGPAという考え方も新しかった。私は、GPAのいい加減さ(それはLetter GradeからGPAを計算することにも由来する)を理由に、成績不良者の発見に役立つ程度と考えていたが、それを超えた重要な働きをすることを教えられた。

 単位制度の実質化のためのGPAという視点も私には思いつかなかったことだ。シラバスの充実などと並んで、GPAを併用することが重要だ。いくらシラバスを充実させても学生は勉強しない。しかし、単位数の多い科目で悪い成績(特に不可)を取れば、GPAに大きく響く。それを考えれば、過剰な履修をやめ、少数科目で集中的学習をする(せざるを得ない)こととなろう。そのような条件が整ってこそ、充実したシラバスやきめ細かい予習・復習の指導が意味を持つことになる。(関連して思ったことだが、1科目の単位数は現在1〜2単位というのが多いが、もう少し多くてもいいのではないか。米国では1科目3単位が普通である。1科目あたりの単位数が多いと、そう簡単に落とすことはできなくなる。学生の真剣度も高まるのではないだろうか。)

 本学でもGPAの導入・活用が日程に上っている。こうしたGPAについての議論を参考にして意味のある制度としたいものだ。