Teaching Digital Natives

先の投稿で,「デジタルネイティブ」という言葉を提唱したことで有名なPrenskyについて紹介しました。Prenskyはゲームの教育利用について本を書いていて,日本語にも2冊翻訳がありますが,私はいまPrenskyの新刊 Teaching Digital Natives: Partnering for Real Learning (2010) を読み始めています。海外から取り寄せると時間がかかるので,Kindle版をオンラインで購入して,Kindle DXで読んでいます。(amazon)

この本では,ゲームに限らず,様々なデジタル技術を現代の子どもや若者の教育に利用する方法が書かれていますが,そのポイントは新しい技術を使うことではなく,教育そのものの形を変えることを提案しています。そのポイントをPrenskyの言葉を使って表現すれば,Partnering(パートナーとなること)だというのです。

これまでの教育は,telling-testing,すなわち情報を与えて,それをテストするという方式だった。これからは,子どもが学ぶのを教師がパートナーとして助けるという方式にすべきだという主張です。パートナーとは,対等な人同士の関係です。したがって,生徒と教師も対等の関係になるということです。お互いを尊敬し合い,助け合う関係です。

デジタルネイティブは教師に教えられなくても技術を使いこなしてしまいます。技術に関しては,教師の方が生徒から教えられることも多いでしょう。しかし,もちろん教師が教えることのできることもあります。そこで,生徒と教師がパートナーとして協力するというのが,これからの教育のあるべき姿だというのです。telling-testingの方式に慣れてしまった人にはイメージしにくいことかもしれません。教師の役割が根本的に変わるのです。

私のいまの大学の授業は基本的にtelling-testing方式です。これをpartneringの方式に変えるのはかなり難しいことです。しかし,少しずつそうした方向に向かって変えていきたいと思っています。