2010年を振り返る(7) Kindle

 今年は電子書籍元年などと言われているが,私もKindle DXが今年1月19日から米国外へ出荷開始(ただし米Amazonサイトからの購入)となったことを聞いて注文し,2月13日に入手した。当初日本語表示への対応は不十分だったが,さまざまな改造情報がネットにはあり,日本語フォントを導入するなどしてそれなりに使えるようになった。その後8月27日からKindle 3が出荷となり,それも注文して9月6日に入手した。

 Kindle本体が日本国内の店では買えないので,そのカバーを買うのも不自由した。結構重いKindle DXはカバーを付けたら更に重くなるので,ぴったりした袋のような形のカバーを取り寄せた(これは米Amazonでも買えないので輸入代行業者を通して買った)。また,Kinde 3は軽いので,Amazon純正のカバーを買った。

 Kindleを買ったのは,電子書籍による読書というものがどんなものか体験するためである。最初大判のDXを買ったのは,市販の電子書籍ではなく,PDFファイルを読むためだった。Kindleで読むことのできる日本語の電子書籍が少ない現在では,PDFファイルを読むことの方が多いだろうと考えたのである。その後,最初から日本語フォントが入っていて,しかも文字がよりくっきり見えるという新しいKindleが出たため,今度は小さい方のKindle 3を購入した。目的は,英語の電子書籍を読むことであった。また,大きいDXと小さい3を比較する目的もあった。

 さて,使ってみての感想であるが,A4判を想定して作られたPDFファイルをDXで読むのは,文字がかなり小さくなるため結構きついとということが分かった。もちろん,拡大機能もあるので,読めないことはない。横長の形で使うと,文字を大きくしてA4の文書の上半分と下半分を分けて読むことができる。また,よくある単行本くらいの大きさであれば,PDF化して十分読むことができる。不満な点は,ページの切り替えが少しもっさりしていることと,文字のくっきり感がいまひとつであることだ。これらは後に発売されたDXでは改善されていると思う(Kindle 3では問題ない)。もう一つは重さである。片手で持って読むには少し重すぎるので,どこかにおいて読む必要がある。

 その点,Kindle 3はカバーを付けた状態でも片手で持てるくらいの重さだ。文字もくっきりしていて読みやすい。英語の本を読むには問題ない。日本語でも,Kindleに対応した電子書籍が出れば,快適に読めるだろう。PDFファイルも,Kindle 3用にレイアウトして作れば問題ない。たとえば,青空文庫で公開されている無料データをちょうど良いレイアウトに出力してくれるサービス(青空キンドル)がウェブ上にある。

 今秋はデジタルネイティブ関係の本を多読した。翻訳物も多く,英語版原書を読みたくなることもある。そこで,Kindle版がある場合は,それを購入した。例えば,以下のようなものである。

Kindle版は印刷版と比べて私の感覚ではそれほど割安感はないのだが,送料まで含めればやはり安いし,何より良いのは注文して直ちに手に入ることだ。最近は早くなったとはいえアメリカからだと5日はかかる。

 あまり利用していないが,Kindle用の電子書籍では,アンダーラインしたところを読者間で共有することもでき,今後の新しい読書のあり方を模索する上でも興味深い。ただ,日本語のKindle版電子書籍がないことや,日本語入力ができないことなど,Kindleはまだまだ発展途上にあることは確かだ。その点,その後に登場した電子書籍リーダーの方が優れていると言える。ただ,今後どれだけの日本語の電子書籍がどこから出てくるのか分からない段階では,これ以上新たな電子書籍リーダーを買うのも得策ではない気がするので,しばらくはKindleとiPadで様子を見ようと思う。

【天気】晴れ。暖かい冬至。来年度の科学史の授業について思案する。

  • 12:20  ブログに「2010年を振り返る」の第7回を掲載しました。テーマはKindleです。 http://bit.ly/esbtIl