昨年度の総合演習での田中班のテーマは,「サイボーグ技術の現在 ~その可能性と課題~」でした。そのプレゼンでは,「ケータイを持った私たちもある種のサイボーグと言うことができる」という内容があったのですが,聴衆にはピンと来なかったようです。アニメなどで作られたサイボーグのイメージとかけ離れているからでしょう。しかし,ケータイを体の一部としつつある現代の若者はまさにサイボーグ化しつつあるのではないかと私は思っています。
アニメ「攻殻機動隊」に登場するサイボーグたちは,脳とコンピューターを直結し,コンピューターはもちろんネットとつながっていますので,人間は完全にネットと融合した存在です。現在,ブレイン・マシン・インターフェースの研究が進んでおり,脳とコンピューターを直結する技術が少しずつ進んでいますが,「攻殻」の世界が実現するのはしばらく先の話でしょう。しかし,アニメ「電脳コイル」のウェアラブルコンピューター「電脳メガネ」のように,装着型のものならば,かなり現実味があります。ケータイは装着型でもなく,文字通り携帯型ですが,それをどこに行くにも(風呂場やトイレまで!)持ち歩くならば,装着型に近い感じではないでしょうか。私はふつうのメガネを装着していますが,風呂に入るときははずしています。一部の若者のケータイはそれ以上なのです。
つねにネットとつながり,他人やデータベースと交信している若者=サイボーグたちは,これまでの人類とどこか異なる存在と言ってもいいのではないでしょうか。見た目はそれほど大きな変化はないのですが,その裏では非常に大きな変化が起こっている可能性があると思います。大げさな話でしょうか?