考えない学生

 今週のフレッシュマンセミナーで、例によって時間が足りなくなり、その時間中に扱えなかった演習問題を宿題にした。そうは言っても、授業中に先回りして終わらせてしまい、授業が終わるときには宿題部分も終わったといって提出する学生が少なくない。
 そんな中で、このような学生がいた。宿題として指定した部分は確かに終わっていたのだが、授業中に扱った問題のいくつかが空白だったのである。私は当然、すべての問題をやってから提出するように言ったが、その学生は、授業中に扱った問題については宿題と言われなかった、と不満そうに言った。授業中にやるべきところをやらずに、宿題としてやるべきところを授業中にやることのおかしさに気づかなかったのだろうか。
 授業中にすべて終わらなかったから宿題にしたのであって、目的はすべての問題をやるということだ、ということが授業の文脈から理解できておらず、言葉で言われたことしか理解できていない。これでは、なすべきことを一から十まで事細かに指示しなければならないことになる。大学教育のあらゆる側面が確かにその方向に動きつつあるのだが、それは極めて非教育的なことだ。矛盾を感じながらやっている。

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