中央公論2月号(特集・大学の失墜)

 久しぶりに総合雑誌を買った。前に買ったのがいつかも思い出せないくらいだ。御茶ノ水の丸善は売り切れで、三省堂まで行ってしまった。それだけ苦労して買ったのは、「大学の失墜」が特集されていたからだ。大学で毎日を過ごしている身としては、気になるテーマだった。
 特集を一通り読んでみたが、期待はずれだった。総合雑誌など買わなければよかったと後悔する。要するに、これまで繰り返されてた大学バッシングがメイン。聞き飽きたという感じだ。
 唯一の救いは、荒井克弘氏の論考を参考にしたという中井浩一氏「学生に「来ていただく」大学入試の始まり」。そこには、アメリカの入試制度が紹介されている。アメリカの大学は3種類あり、それぞれ競争選抜(上位15%)、資格選抜(7〜8割)、開放入学(10%)という制度をとっているという情報だ。これは4年制の大学の話で、2年制の大学では開放入学が多数を占める。
 アメリカと同じユニバーサル段階(進学率50%以上)になっている日本も、アメリカの制度を参考に、大学の種別化を早く進める必要がある。ちなみに、この種別化の中で、本学は資格選抜、すなわち高校卒業資格のみで入学できる大学となる可能性が高い(今は上位15%に入っているだろうか)。アメリカでは一般的なこの種類の大学がどのような大学教育をしているのか、それをこそきちんと調べて教えて欲しい。大学バッシングが商品価値を持つ時代はもう終わりにして欲しい。

※ こうした本を読む必要がありそうだ。荒井克弘編著『高校と大学の接続——入試選抜から教育接続へ』玉川大学出版部、2005.2、5145円。資格選抜は、高大接続の問題ということだ。