広島発特集ドラマ「帽子」

  • 広島発特集ドラマ「帽子」2008.8.2, NHK総合, 90分

 広島県・呉に、かつて軍港だったころ、山本五十六連合艦隊司令長官の軍帽を作ったという帽子店がある。その誇りを受け継ぎ、学生帽を作ってきた職人が春平(はるへい・緒形拳)だ。しかし最近、注文は減り続け、物忘れも多くなった。「ハサミが見当たらない」と警報ボタンを押し、警備員の社員・吾朗(玉山鉄二)を呼びつける毎日だ。

 ある日、春平は吾朗を捨てた母親が幼なじみの世津(田中裕子)で、今ガンの末期にあることを知る。胎内被爆という重い荷物を抱える世津の兄のような存在だった自分。しかし、最後は支えきれず、世津は春平のもとを去った。その記憶は、今も春平を苦しくさせる。世津が死を前にしていると知り、春平は強引に吾朗を東京に連れて行く。

 胎内被爆者として、差別や病気の不安と戦いながら生きてきた世津。しかし、探し当てた世津は意外にも実に幸せそうに暮らしていた。世津は40年前の春平との別れの時、春平が作った小さな「水兵帽」を受け取っていた。春平の職人としての「誇り」がこめられた「帽子」。それは、世津にとって、辛く苦しい時、自分を支えてくれた大切なものだった。「誇り」を失いかけた春平に、世津はその帽子を見せる。そして、春平の心に再び力がわきあがってくる……。

 

[作] 池端俊策
[音楽] めいなCo.
[演出] 黒崎博

 

[出演]  緒形拳 (高山春平役)、玉山鉄二 (河原吾朗役)、田中裕子 (竹本世津役)、
 岸部一徳、北見敏之、山本晋也、牟田悌三、山本龍二、笠原秀幸、朝倉あき、高橋克明、
 高橋駿海、富田麻帆、大西麻恵、岩田丸、青野光臣、柚木佑美、小村英里香、梶本浩喜 ほか

 

[番組ホームページ] http://www.nhk.or.jp/hiroshima/eighty/boushi/