イスラエル 秘められた核開発 前編・後編

  • BS世界のドキュメンタリー「<シリーズ 核の時代>イスラエル 秘められた核開発 前編・後編」2008.7.17-7.18, NHKBS1, 各42分

<シリーズ 核の時代>
イスラエル 秘められた核開発 前編

 

08年7月16日 火曜深夜[水曜午前] 0:10~0:52

 

 イスラエル初代首相ベングリオンは、1948年の建国当初より、アラブ諸国に囲まれたイスラエルの安全保障には核兵器の保有が欠かせないという信念を持っていた。自国で開発を進めるため、当時、核技術を保有していた4カ国(米、ソ、英、仏)のうちフランスに接近を試みる。

 1950年代のフランスは、アルジェリアの独立問題を抱えていて、エジプトのナセル大統領が打ち出すアラブ民族主義を警戒していた。1956年にスエズ危機が起きると、シナイ半島に侵攻した英仏軍に同調し、イスラエルも軍隊を派遣した。フランスは、中東で孤立するイスラエルへの支援は自国の利益につながると考え、イスラエルの核保有計画への支援を決断する。

 1957年、イスラエル南部のネゲブ砂漠の町ディモナに、パリ近郊の施設をモデルにした原子炉建設が始まった。1960年、イスラエルを訪れたアメリカの科学者が、イスラエルは核保有間近と訴え、ニューヨークタイムズが記事にしたため世界に衝撃が走った。

 ケネデイは、ディモナの原子炉を国際監視のもとに置くべきと主張し、科学者による査察が行なわれたが、地下施設で密かに進められていたプルトニウムの抽出作業には気がつかずに去ってしまう。

 

原題: Michael Karpin & Tura Communication
制作: Bergmann Pictures(イスラエル) 2001年

 

担当者メモ
 イスラエルのベテランリポーターによる取材。2001年11月にイスラエルチャンネル2で放映された後、欧州各国、カナダなどで放送された。

 

出典:http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/080716.html

 

<シリーズ 核の時代>
イスラエル 秘められた核開発 後編

 

08年7月17日 木曜深夜[金曜午前] 0:10~0:52

 

 イスラエルはごく最近まで、核の保有について曖昧政策を採り続けてきた。ペレスは米国政府に対し、核による先制攻撃を受けない限り、自国の核を使用しないという言質を与えることで、核保有を黙認されたとしている。ジョンソンにとっても、国内のユダヤ人コミュニティーに配慮して、イスラエルに強硬姿勢を取らない方が得策だった。この番組も、明快にはイスラエルの核保有を断定せず、登場する証言者は、イスラエルが核保有の有無を曖昧にしてきたことで、中東の安全保障が保たれ、アメリカのメンツも保たれたと、その政策を評価している。

 一方で、1967年と1973年の2度の中東戦争と、1991年の湾岸戦争において、イスラエルが核のボタンを押す一歩手前までいったと要人が証言。微妙なパワーバランスの上に成り立つ中東情勢を、核という側面から描き出している。

 

原題: Michael Karpin & Tura Communication
制作: Bergmann Pictures(イスラエル) 2001年

 

出典:http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/080717.html