『デジタルネイティブが世界を変える』

ドン・タプスコット(栗原潔訳)『デジタルネイティブが世界を変える(原題:Grown Up Digital)』翔泳社,2009年,491頁,本体2400円。(原書2008年刊)

iizuka123さんが紹介してくれた本ですが,途中まで読みましたので,紹介します。

この本は,タプスコットが1997年(邦訳1998年)に出した本『デジタルチルドレン(原題:Growing Up Digital)』の続編です。子どもの時からデジタル環境で育ったデジタルネイティブたちが成長してどのようになったかを考察しています。

デジタルネイティブの特徴を次の8つにまとめています。
・選択の自由を求める
・カスタマイズしたがる
・調査能力がある
・誠実さを大切にする
・共同作業(コラボレーション)が得意である
・楽しさを求める
・スピードを求める
・イノベーションを当然のものとする

これらの特徴を持ったデジタルネイティブが学校・職場・経済・家庭・政治などの場でどのような変化をもたらすかを考察しています。特に学校に関しては,次のような改善の提案をしています。
・放送型学習から対話型学習へ
・教え込みから発見へ
・個人学習から共同学習へ
・既製品からオーダーメイドへ

これらの他にも,上記の特性に合わせて,
・誠実さ
・楽しさ
・スピード
・イノベーション
などの要素を重視する必要があるということでしょう。

このような提案を聞くと,本学の教育はそのほとんどが実現できていないように思いますね。ただ,ここでメンバーの皆さんに聞きたいのは,今の若者が本当に上記のような教育を求めているのかということです。というのも,先に言及した人間科学科目アンケート(pdf)の結果(質問5)によると,望ましい授業形態としては,従来型のもの(講義やビデオ視聴)が一番多く,対話型や共同学習の希望は極めて少なかったからです。