授業評価アンケート

 今学期の授業評価アンケートを独自に集計し直して,グラフを作った。本学では,事務方が集計からグラフ化,学内公開まですべてやってくれるのだが,クラス毎のレーダーチャートだけだとあまり多くのことが分からないので,独自にいろいろなグラフを作っている。

 前からやっているのは,5段階評価の平均点ではなく,それぞれの評価がどれくらいの割合であるのかが分かるように評価項目毎の帯グラフを作っている。平均点では同じでも,その内訳はいろいろでありうるからだ。

 今回新たに作ってみたのは,数年間の推移が分かるようなグラフで,各評価項目の平均点の推移を示した折れ線グラフと,項目毎の評価割合の推移を示す帯グラフだ。

 かなり時間のかかる作業で,1科目分しかできなかったが,これにより,いろいろなことが分かってきた。授業評価アンケートの意義については疑問視する意見も少なくないが,私は使いようによっては十分な意味があると思っている。

 今回集計したのは「科学の社会史」という私の専門に最も近い科目で,赴任した2005年度前期から5回授業を行っている。前半の2年(2006-07年度)に比べて後半の2年(2008-09年度)は明らかに評価が全体的に上がっている。2008年度に新しく始めたことと言えば,それは授業内レポートの導入だ。授業の途中で計3回ほどレポートを書いてもらうのだ。これが評価にどう反映しているのかはよく考察しなければいけないが,授業が分かりやすくなった,あるいは分かろうという努力をする動機づけができたのかもしれない。それまでは基本的に一方的な講義だったので,途中で理解を放棄するような学生も少なくなかった。

 他方,昨年度と今年度を比べると,良くなった項目と悪くなった項目がある。良くなったのは,資料についてで,これはこれまでなかなかよい評価を得るのが難しかった。今回,パワーポイントの内容の文字部分に関するプリントを毎回配布したことが良かったのかも知れない。しかし,それは反面,授業サイトを利用する動機を低くしてしまったようだ。授業サイトの利用頻度については,昨年度よりも今年度の方が悪くなっている。これまでも,パワーポイントの内容は授業サイトで提供していて,それが授業サイトを利用する動機の一つになっていたと思う。その結果,サイト利用頻度が上がり,それとともに学習支援に関する情報も得ていたのだと思う。今学期,学習支援の評価も下がったが,これはサイト利用頻度と連動していると思う。授業サイトを利用しなければならないような新しい動機付けが必要だろう。

 なお,2007年度に板書の評価が急落しているが,これはパワーポイント中心の講義ではなく,黒板を使った板書を中心に講義をやった結果だ。即興的な板書による講義は不評だった。パワーポイント中心の講義に戻したら,この評価は急上昇した。パワーポイント中心の講義も,ノートをとるのが難しいようだったので,その手間を最小限にするための資料を配付することにした。これでも難易度が高すぎるという評価を得ている。学生が丁度良いと考える難易度にして,しかも興味を持ってもらえるような内容・方法の講義をするのにはまだまだ工夫が必要なようだ。

【天気】晴れ。