- その時歴史が動いた「模擬原爆パンプキン ~秘められた原爆投下訓練~」NHK総合,2008.8.27, 43分
番組を見た。民間人が暮らす都市が原爆投下の演習場となり,また新大型(1万ポンド=4.5トン)爆弾パンプキンの効果を試す実験場になったことが分かる。その延長線上に,原爆効果の実験場となった広島・長崎がある。その結果,パンプキンは兵器として使い物にならない(つまり殺傷効率が悪い)ことが分かったが,原爆は有効な兵器であることが証明され,今日に至るまで軍事・政治の世界で重要な役割を担い続けることになった。
兵器の実験台にされた人の証言も番組では紹介されていた。単に空襲で死傷したこと以上の苦しみがもたらされていることを知った。それは人間扱いされなかった(モルモットにされた)ことに対する屈辱だと言えばよいだろうか。
1945(昭和20)年8月、アメリカ軍によって広島・長崎に投下された原子爆弾。ここに至るまでに“もう一つの原爆”があったことが近年明らかになった。それは「模擬原爆パンプキン」。原爆が投下される直前の7月下旬からの日本本土での予行演習のため、プルトニウム原爆と形も大きさもそっくりに作り、大量の爆薬を詰めた巨大爆弾である。
愛知県や山口県の教師たちがアメリカ軍の原爆投下作戦を詳述した記録を発見。その調査からパンプキンのべ49発が繰り返し日本の各地に落とされ、400人以上の人が死亡、負傷者も1200人以上にのぼることが判明した。アメリカ軍は、パンプキンを原爆投下予定地の周辺に落とすとともに時には市街地であればどこでもかまわずこの爆弾を投じていたのだった。
番組では、秘められたパンプキン投下の悲劇を明らかにしながら、日本の市街地を標的に進められた原爆投下計画の舞台裏を、米軍資料や研究者・空襲被災者の証言をもとに描く。