最終兵器 ~水爆開発の秘密~

  • BS世界のドキュメンタリー「<シリーズ 20世紀 “核”の内幕>第2回 最終兵器 ~水爆開発の秘密~」2008.7.23, NHKBS1, 50分

 水爆開発に対する米ソ科学者(主に,オッペンハイマー,テラー,サハロフ)の言動を再現ドラマで描く。記録映像も利用。米ソ,特にアメリカの民間防衛啓発フィルムの一部も映される。広島型原爆の1000倍の威力を持つ水爆を作れる国が,核兵器から身を守るのに物の陰に隠れればよいといった程度の知識しか国民に提供していなかったのは驚きである。
 この番組では,オッペンハイマーが核兵器を生み出したことに対して悩んでいる場面で広島・長崎の被爆者の赤くただれたケロイドを映したカラーフィルムの一部が映し出されていた。

<シリーズ 20世紀 “核”の内幕>
第2回 最終兵器 ~水爆開発の秘密~

 

7月22日 火曜深夜[水曜午前] 0:10~1:00

 

 ロバート・オッペンハイマーは、ロス・アラモス研究所の所長として原爆を生み出し、高い名声を得ていた。しかし彼自身は原爆のもたらした被害や、さらに強力な兵器「水爆」の誕生につながる可能性があることに罪の意識を抱き、苦しんでいた。

 オッペンハイマーは、科学者として研究開発を続けたいという欲望と、世界を破滅させかねない兵器の誕生を許すべきではないという思いのはざまで悩んだ末、開発反対の意思を表明。しかしアメリカが彼に与えたのは、「裏切り者」のらく印だった。

 水爆開発を引き継いだエドワード・テラーは、自分の研究を邪魔する存在としてオッペンハイマーを憎んだ。テラーは、共産主義勢力からアメリカの自由や平和を守るために、抑止力として最強の兵器を開発・保持することが最上だと主張、アメリカ政府は軍拡に突き進む。

 一方のソビエトでは、フックスを始めとするスパイたちの情報をもとに、核開発が急ピッチで進んでいた。そしてアメリカの予想をはるかに超える早さで核実験に成功。水爆開発の中心人物の一人、物理学者のサハロフは、自ら開発した水爆の実験成功を見守りながら、世界が後戻りできない破滅への道を進み始めたことを悟る。

 世界平和のために、最終兵器を持たねばならないと考える米ソ超大国。その果てしない軍拡競争のかげで、それぞれ苦悩した科学者たちの姿を描く。

 

原題: Nuclear Secrets – Super Bomb
制作: BBC(イギリス) 2006年

 

担当者メモ
 この回のオリジナル脚本の最後のナレーションは、World peace now relied on a new concept. Mutually Assured Destruction. MAD.(世界平和は、今や新しい概念の上に成り立っています。それは「相互確証破壊」、頭文字を取って、MAD-狂気-です。)と、締めくくられています。日本語版台本制作にあたって、限られた時間の中でこの一行をどう表現するか、スタッフで議論を重ねました。結果は、番組でどうぞご確認ください。

 
 

出典:http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/080722.html